昨日、京都の扉野さん一家がみえ、いっしょに倉敷天文台を訪問。主事の監物さんや、関係者筆頭である岡山民報の大野さんからいろいろなお話をうかがう。
去年の夏、ひょんなことでわたしが倉敷天文台に出入りするようになったのとちょうど同じ頃、扉野さんは京都で天文に関するある巡り合わせがあり、そのことについて最近ちょこちょこやりとりをしていたのです。

倉敷天文台。
広い敷地内に平屋の古い建物がぽつぽつと建っていて、あたりにはいろいろな花が咲いていたり畑があったりして「なんかちょっと沖縄みてーななぁ(※ 沖縄みたいだね)」とは、同行のカメラマンの藤井さんの言葉。ほんとに、ここだけ別世界です。
倉敷天文台といえば、日本で一番古い民間の天文台で、いくつもの彗星を発見した本田實氏の功績でも知られていますが、その本田先生の奥様である慧(さとる)さんがいまもご健在で、今回の扉野さんの訪問をきっかけに、わたしもついにお目にかかることができました。97歳というご高齢もあり、すぐそばにお住いなのはわかっていても、やはり理由がないことにはなかなか…とずっと思っていたのです。
耳の遠い慧さんとは、大野さんによる「通訳」や筆談でやりとりをするのですが、それは亡き實氏への愛情にあふれたもの、もっとくだけた言い方をすれば「ああ、實さんのこと大好きなんだなあ」というのがひしひしと伝わってくるものでした。「實(みのる)」と「慧(さとる)」という目にも耳にも心地よいお名前もロマンティックでいいですね。

戦前から戦後にかけて本田實氏が愛用した木製の反射望遠鏡。
慧さんはとてもチャーミングな方で、扉野夫妻のお子さんとの、その年の差97歳のツーショットは宝物のような一枚。蓉くん(お子さん)はほっぺにキスマークをつけられていました。
予報どおり夕方から厚い雲がかかり、夜の観望ができなかったのは残念でしたが、でも、扉野さんという人がひきよせる数々のふしぎを目の当たりにできたたのしい一日でした。そして大野さんの機動力には、扉野さんともども舌を巻きました。ありがとうございました。
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(おしらせ)
明日からメリーゴーランド京都店で、その扉野さんたちの企画である「犀の本棚」がはじまります。わたしもちょこっと参加させていただきます。

メリーゴーランド京都企画
『晶文社50周年記念 犀の本棚』
このたびメリーゴーランド京都では犀のマークの晶文社の刊行物を並べた小さな本棚を設置いたします。
名づけて「犀の本棚」。
2010年2月、晶文社は創業50周年を迎えました。文学であり、アートであり、詩であり、音楽であり、哲学であり、生活であり、カルチャーであり、思想であった犀の本の数々は、時代時代に新しい風を送りこんできました。つまりそれは、私たち本好きの胸に「生き方」を印してきたのではないでしょうか。
寺山修司の「書を捨てよ、町へ出よう」とは反語的な評言で、じつは書を胸に町へ出ることのスリリングさを言い当てています(*)。晶文社の本作りには、そのスリリングさの妙味が、いつも感じられました。
(*)晶文社刊に寺山修司の著作が見あたらないのも反語的なことでした。
メリーゴーランド京都では、これまでに刊行された晶文社の新刊書、旧刊書を小さな本棚に並べてみようと考えました。版元では手に入らなくなった絶版古書も並べようと思います。
けっして選りすぐったとはとても言えない、せいぜい100冊程の本が並ぶに過ぎません。
それでも、並べた本の背から犀の大きさが伝わるような本棚を作りたいです。
そして、皆さまにとって「犀の本」といって思いだす一冊や、こんな本があったと新たな発見がつまった本棚となるように心がけたいです。
どうぞ皆さまのお越しをお待ちしております。
メリーゴランド京都 鈴木潤 三野紗矢香
開催期間 2009年4月16日(金)〜6月30日(水)
参加 BOOKONN 文壇高円寺 古本オコリオヤジ トンカ書店 蟲文庫
りいぶる・とふん 増田喜昭
600-8018 京都市下京区河原町通四条下ル市之町251-2 寿ビル5F
電話 075−352−5408(メリーゴーランド京都 担当,三野 協力,扉野)
http://www.merry-go-round.co.jp/kyoto.html