◆古本・倉敷「蟲文庫」◆
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2011年03月28日

煮詰まる玉葱味噌

昨年収穫して軒下につるしていた玉葱にもいよいよ芽が出始めたので、一気に消費すべく、昨夜は鍋いっぱいの玉葱味噌を作りました。我が家の常備菜の筆頭。

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大量の玉葱とそれなりのゴボウ、蓮根、ヒジキに味噌を加えて煮詰めます。

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仕上げにすりゴマを少々。

そういえば、これらの作業が最終段階に近づき、木べらを忙しく動かしながら煮詰めていると、いつもなんとなく「煮詰まる」という言葉の誤用について考えてしまいます。この玉葱味噌は、なにも行き詰まってなどいない……とかなんとかぶつぶつ言いながら完成へと向かうのです。

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完成。

ご飯の上に乗っけたり、和え物の隠し味にしたります。個人的には、トーストに黒ゴマペーストと一緒に塗って食べると「なんとなく中華まん風味」でお気に入りです。

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(おしらせ)

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かえる目/拝借(compare notes CN-0027)2100円
 ※入荷しました!(4月1日更新)

待望のかえる目の3枚目のアルバム、ついに発売になりました。
今回も、心地よくうっとりと聴いているうちに、え?なに?なぜ? という謎が次から次へと姿を現し形を成し増幅され、気がついたら一日中繰り返し聴いているという、「嗚呼、やっぱりかえる目!」と天を仰ぎたくなる気持ちです。

狂おしいほど切なく、美しく、愛らしく、そしてへんてこな名曲の数々。「転出」と「運び屋」が特に好きなのですが、かえる目は、聴けば聴くほど “特に好きな曲”がどんどん入れ替わる(そしてそのうちまた元に戻る)ので今後の自分自身の展開もたのしみです。「マンガ都市」には、popoの面々も参加されていますよ。

そしてここで、地元岡山のみなさんにお知らせです。昨年、ひょんなきっかけで、かえるさんこと細馬宏通さんが、鴨方・下山孝子堂の「天文台もなかのうた」を作ってくださったのを覚えておいでの方もいらっしゃるかと思いますが、なんと今回のこのアルバムに収録されているのです!わー!
(そのいきさつについてはこちら:「どんなもんだい天文台」http://bit.ly/bF9cjk

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♪星のドームに餡のつまった天文台 どんなもんだい天文台♪

わずか16秒のこの曲。細馬さんは、このアルバムの中に「すいと流れ星が通ったよう」と表現されていましたが、たしかに「えっ? い、いまのはなに??」という立ち位置にあるのは間違いありません。どうぞ、お聞き逃しのないように。


11日を境に、こうして普通の暮らしが出来ているわたしたちですら、何かすっかり風景が変わってしまったように感じます。いつもの本や、いつもの音楽との距離もずいぶん混乱しています。でもその中で、かえる目はなぜかあまり変わらないままそこにあって、わあ、すごいなあ、と思いました。


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かえる目「主観」「惑星」「拝借」、間もなく3枚そろって蟲文庫店頭にも並ぶ予定です。
あなたのお手許にもぜひ、かえる目を。

かえる目 : http://12kai.com/kaerumoku/
posted by 蟲文庫 at 17:48 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月25日

こないだの月

「彼岸すぎたいうのになあ」と近所のひとびとと言いあうここ数日。まだまだ暖房のいる気温がつづいています。
いままで、ごくまれにしか手に取る人のなかった店頭の『はんげんぱつ新聞』が、いやでも人の目に入るようになったこの頃。そして自分も、いままでこの新聞を並べるということくらいしかしてきていないんだよな、と苦い思いです。

先日のスーパーフルムーン。

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普段より14%大きく、30%明るい月だったそうです。

でも、満月というのは望遠鏡でのぞいても、のっぺりしていてあまり面白みがない。肉眼でみるほうが好きです。


本日の通い猫さん。

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ミント母さん。

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息子のプリン。

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プリンと裏庭の石垣。

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 (新入荷のおしらせ)

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『いまそかりし昔』築添正生 著(りいぶる・とふん)2800円+税

林哲夫-装幀
写真-井上迅
栞-平出隆「銀の透明」、築添正生インタビュー「わたしの好きなもの」他

平塚らいてうの孫で金工家の築添正生の遺稿集。栞には、築添正生さんによる「カメの遺言」(おちゆうじとシューベルツ)の歌詞も載せてありました。

通信販売のご希望も承ります。

(再入荷のお知らせ)

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yumbo/これが現実だ(7ep.)2500円+税

しばらく切らしていたyumboの新譜、再入荷しました。

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  (仙台・火星の庭の前野久美子さんよりお知らせ)

神戸・塩屋の旧グッゲンハイム邸にて被災地から関西以西へと避難した親と子どもたちの集まりがあります。詳細は以下の通り。そしてここ倉敷でも、日に日に若いお母さんと小さな子どもたちをみかける機会が増えています。


「また会えたね」〜震災・原発、仙台からここへ〜

2011/3/28 mon. 16:00〜21:00
旧グッゲンハイム邸
〒655-0872神戸市垂水区塩屋町3-5-17
tel/078-220-3924. http://www.nedogu.com
入場無料/会場にてカンパ受け付けております。
問い合わせ先メール kasei@cafe.email.ne.jp


3/11に起きた東北関東大震災によって福島の原子力発電所が事故にあい
放射能汚染の危険が高まっています。放射能は特に妊婦、乳幼児、出産前の女性、
子供へのリスクが高いことが知られています。震災直後から度重なる事故が
続くなか、必死の思いで小さな子供を抱える親達が被災地から関西以西へと避難してきました。
その数は100名以上。原発から離れたとはいえ、慣れない土地での不安やストレス、
住み慣れた街への未練、負い目、罪悪感を抱えて過ごしています。
そこで被災した親子達が一度集まってそれぞれの心境を
語り合う場をつくりたいと思いました。できるだけ関西、神戸の地元の人達とも
交流し、理解を深められればと願っています。
そしてこの機会が被災者もそうでない人もこれから先、どうやって生きていくか
ちょっとでも希望を感じられる時間になりますように。
子供たちには子供同士で思いっきり遊ぶ時間を用意して、おいしいものを食べてもらう。
会場の旧グッゲンハイム邸は約100年前に建てられた洋館。目の前には青い海が広がっています。
今起きている震災、原発事故に少しでも関心の或る方はどうぞご参加下さい。お待ちしております。


内容:子供達は海の見える二階で絵本の読み聞かせや、お絵描き、トランプ、楽器遊び。
外でかけっこ、鬼ごっこ、縄跳びなどをして遊びます。おいしいうどんとおやつもあるよ。
大人達は仙台から避難してきた人、関西でこの震災、原発に関心のある人同士が自由に話し合います。
ゲストスピーカーに清水かなさんを迎えます。清水さんは仙台に住む二児の母で「三陸の海を守る わかめの会」の活動に関わり、
研究者からアーティスト、映画監督、料理研究家などさまざまな立場の、原発について発信する人達と積極的に交流しています。


最後にここまでのいきさつを。
3/15の深夜雪の降る中新潟行きの車に乗せてもらって、18時間かかって大阪に来ました。
関西行きを促されたのが出発の3時間前。着の身着のまま娘と車に乗りました。
まさか神戸で催しをやるとは想像もしていませんでしたが、旧グッゲンハイム邸の森本アリさん
はじめ、様々な方のご協力で今回の会をさせていただけることになりました。感謝申し上げます。

(火星の庭・前野久美子)
posted by 蟲文庫 at 13:15 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月19日

土手の河津桜

明日からお天気が崩れるという予報なので、今朝はお彼岸と少し早い月命日を兼ねてお墓参りへ。わりあい規模の大きな地域の共同墓地なのですが、みな考えることは同じなのでしょう。なかなかの人出でした。
ふだん、手を合わせる時は、あまり何も考えないようにしているのですが、いまはやはり被災地のことでいっぱいになります。


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倉敷川の土手の河津桜は満開でした。

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「明日から雨みたいね」と日光浴にはげむナドさん。

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数日前、ようやく岡山にもやってきた、映画「海炭市叙景」を観に行きました。うわーと思うほどいい映画だった。あの中のさまざまなシーンがいまも蘇ります。猫をなでるおばあさんの手の、それはそれは美しいこと。
原作を読んだのは『佐藤泰志作品集』(クレイン)が出た時なので、すこし前になるのですが、いろんな人が「原作も映画もどっちもいい」と言っているのがよくわかりました。「なんだか親戚をみているみたいだった」と言う、北海道生まれのS嬢と、映画館の前を走る路面電車の線路を踏みながら家路についたのでした。


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こちらのポスターもいいですね。
音楽はジム・オルーク。

岡山シネマクレールで25日(土)まで。
posted by 蟲文庫 at 17:15 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月14日

シロとキジはミントとプリン

こちら岡山では、幸いにも平穏な生活ができています。
でもやはりあまり何も手につきません。


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こんな時、いつも通りたずねてくれる猫らには、ほんとうにほっとさせられます。

ところで、いままでずっと、どこかのお宅の外猫だとばかり思っていたのですが、つい最近、ご近所さんちの飼い猫であることが判明。そしてシロさん(本名「ミント」さん)、お腹が大きいのには気がついていたのですが、数日前に仔猫を2匹産んだそう。どうりでしばらく姿がみえないと思いました。

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すっきりと、もとの美貌にさらなる磨きがかかったようです。

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こちらのキジトラくんは「プリン」くん。

一族全員、顔立ち、スタイル、毛並みとも抜群なので、生まれた赤子たちもきっと受け継いでいることでしょう。そのうち連れてきてくれるかも。

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(みなさまへ)

仙台、火星の庭の前野さん一家、澁谷夫妻をはじめとしたyumboのメンバー全員、作家の佐伯一麦さん、また倉敷とは縁の深い加藤哲夫さん、みなさんご無事でいらっしゃいます。心配されている方も少なくないと思いますので、こちらでもお知らせさせていただきます。
posted by 蟲文庫 at 18:27 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月10日

昨日の月と昔の月

カレンダーをみては気ばかりが焦るこの頃。でも昨日の夜はずいぶんきれいな三日月だったので、ひさしぶりに写真に撮ってみました。

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月齢4くらい。

昨日の月を眺めながら、工藤冬里さんの「昔の月」をくちづさみました。好きなうたなのです。

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映画「海炭市叙景」ついに岡山でも公開。

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岡山シネマクレールにて12日(土)〜25日(金)まで。
・(12日〜18日)13:45 , 20:15
・(19日〜25日)12:45 , 17:50

毎月、どのポスターが届くかはわからないのですが、今月はひそかに「海炭市叙景」が来ないかなあ、と期待していたのです。期待通りでした。

岡山 シネマクレール:http://www.cinemaclair.co.jp/
posted by 蟲文庫 at 20:11 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月06日

尾崎屋謹製の梅干し

衣服も暖房も、また冬場とたいして変わりはありませんが、でも、すっかり西に傾いたオリオンに、コバノチョウチンゴケの新芽に、そして自分のほっぺたのぶつぶつに春を感じます。
3月に入った途端、ふたたび忙しくなりました。あれやこれやの仕事が山盛り。ひさしぶりに歌います。
♪でっきるかな、でっきるっかな、さてさてほほー ♪

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我が家の遅い梅の花も咲き始めました。


新入荷のお知らせをふたつ。

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『関口良雄さんを憶う』(夏葉社)840円

山王書房の店主で『昔日の客』の著者である関口良雄さんとの思い出がつづられた小冊子です。『昔日の客』につづくまさかの復刊。ほんとうに、まかさ読める時が来るなんて思ってもみませんでした。びっくりしました。

つい先日みえた木山萬里さんが、『昔日の客』が並んでいるのをご覧になって「ここにも置いてあるんだねえ!」とたいそう喜んでくださいました。最近、関口良雄さんの奥様とお話をされる機会があったということ。この『関口良雄さんを憶う』もたのしみにしておられました。「うちのおふくろ(木山捷平夫人のみさをさん)は関口さんのこと良く知っていたんだよ」と少し思い出話もきかせてくださいました。
この冊子を編集したのは尾崎一雄。以前、ある文章の中にも書いたのですが、梅の産地として有名な下曽我にある尾崎家では、毎年大量の梅干しをつけるのが習わしで、木山家にもいつも「尾崎屋謹製」の梅干しが届けられていたということ。尾崎一雄は「梅干しも漬けずに頑張ったんだが」と入稿遅れの言い訳をしたことがある、という話を、つい最近聞いたばかりなのですが(筒井康隆『あなたも流行作家になれる』に書かれてあるそう)、その梅干しは、もしかしたらこの山王書房にも届けられていたのかもしれません。


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『ブックカフェのある街』前野久美子 編著(仙台文庫1)940円+税

岡崎武志さんの『女子の古本屋』に書かれている、仙台・火星の庭の前野さんの半生に衝撃をうけた方も少なくないと思いますが、その前野さんの初の編著。ますますパワーアップする前野さんの現在が垣間見えます。まあとにかく、手に取って読んでみてください、すごいです。
数日前に並べたばかりだったこの本をご覧になって「“証拠”写真撮ってもいい?(前野さんに見せるから)」と写真におさめていかれたのは、この本にも登場されている作家の佐伯一麦さん。「地元(仙台)から、こういう本が出されるというのは、とてもいいことだと思う」というふうに仰っていました。


あいついで覗いてくださった木山萬里さんと佐伯一麦さん。このたびの木山捷平文学賞の授賞式のためにみえていたのですが、思いがけず、あいついで入荷したこの二冊について、それぞれに関係の深いおふたりからお話をうかがうことになって、なんだか不思議な気持ちになりました。倉敷の、この店の帳場でじっとしているだけだというのに。

佐伯さんからは、興味深い亀のお話も伺うこともできました。
posted by 蟲文庫 at 15:36 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月03日

めくるめく雑魚の楽園

釜あげしらす。だいたいひとパック198円くらい(もっと安い時もある)。こちら瀬戸内では、ふだん何の気になしに買う食材ですが、先日東京の人と話していたところ、かの地ではなかなかの贅沢品であるということ。なんと、ひとパック480円くらいが平均だそう。たしかに、あの決してメインディッシュには成り得ないものがそんなにすれば、よっぽど好きでないかぎり、そう気軽には買いませんね。居酒屋のメニューでおなじみの「ちりめん大根」も、都市部ではかなり原価がかかっているということですか。へえええ。
そういえば、札幌生まれの友達が「岡山に来たら、見た事もない、ちまちました魚がスーパーにたくさん並んでいてびっくりした」といっていました。たしかに、ママカリ、イシモチ、ゲタ、アミ、ダメ……標準語でなんというのは知らないけれども、昔から慣れ親しんでいる小ぶりの魚介類が、年中鮮魚コーナーを賑わせいます。めくるめく雑魚の楽園、瀬戸内。

しらすと菜の花の混ぜご飯、しらす入りの卵焼き、しらす納豆蕎麦、自家製のちりめん山椒……当たり前すぎてみえなかった幸せに気づいたこの春先です。

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ところかわれば高級食材。

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(新入荷のお知らせ)※ こちらの3タイトルについては、当面、店頭販売のみとさせていただきます。

【dependent direct sales】より

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Maher Shalal Hash Baz/1996 showboat (CD-R 1500円)

工藤冬里(テルミン、ヴォーカル、ギター)
中崎博王(ユーフォニウム、ノーズフルート、ヴォーカル)
大泉究(ピアノ、ヴォーカル)
高橋幾郎(ドラムス)
墓川雪夫書き下ろしライナー、歌詞つき

本来は、レア中野店で売られている、限定の工藤冬里ドローイングスリーブの音源なのですが、なんと思いがけず蟲文庫にも限定7枚で、特製の「かめ盤」が! もちろん、ひとつひとつ違う亀の絵です。わーーーーーっ すごい!うれしい。ちなみに「かめ盤」の命名は工藤礼子さんです。

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ええっと、すみません。亀ジャケですっかり盛り上がってしまいましたが、この1996年 showboat のライブ音源、メンバーをご覧いただいただけでわかるかと思いますが、すごくいいです。「心臓のない男」必聴!

【Hyotan Records】より

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NAMIO KUDO/love songs(CD-R 1200円)

「はるのあめ」もじわじわと売れ続けている、工藤波夫さんのうたとピアノ。こちらも特製のスリーブですよ。開けてのお楽しみ。

【KAYA LABEL】より

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TORI KUDO/FLy me to the Moon(カセット 1000円)

いまのところ手許に2本しかないため開封を躊躇していて、どんな内容かまだわからないのですが、とりあえずお知らせ。「SONGS BY TORI KUDO」とありますので、工藤さんの歌と演奏のようです。チョコレートのパッケージを模してあって、最初、ほんとにチョコレートかと思いました。デザインは波夫さんかしら。

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 (おしらせ)

*『関口良雄さんを憶う』(夏葉社)、『ブックカフェのある街』前野久美子 編著(仙台文庫1)いずれも近日入荷予定です。

* かえる目の待望の3rdアルバム「拝借」は3月24日発売。蟲文庫にも入荷しますので、近郊のかえる目ファンのみなさま、どうぞお楽しみに!  

またまたたいへん素敵な「拝借」のジャケットはこちら。http://12kai.com/kaerumoku/
posted by 蟲文庫 at 13:12 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月01日

もぐらで友部さん

昨夜は、岡山のライブハウスMO:GLAであった、友部正人さんのライブへ行きました。
以前、友人から「(ふだんの文章と比べると)友部さんのことを書く時だけは、なんか恥ずかしいくらいまっすぐだよねえ。面白くないし」と冗談めかして指摘されたことがあるのですが、ふん、そんなことくらい自分でよーくわかってるわよ。なんとでも言ってください。友部さんは、別格なのです。

前半は、新曲や「手袋と外国コイン」「廃品回収業者」「仲のいい二人」「いじわるそうな女の子」「ダンスホール」など昨年発売された「クレーン」の中の曲を中心に。中盤から「どうして旅に出なかったんだ」「6月の雨の夜チルチルミチルは」「はじめぼくはひとりだった」「一本道」など、おもわず「わっ」と歓声をあげそうになるあの曲この曲も。ずいぶんまえに亡くなられたという弟さんのことをうたった「弟の墓」も印象的でした。

友部さんのうたを最初に聴いたのは10代の終わり頃、知り合いからアルバム「夕日は昇る」を借りたのがきっかけで、そこから遡ったり、そしてそんな頃に偶然にもお目にかかる機会が出来たり、とすでに人生の半分を友部さんのうたを聴きながら過ごしてきました。例えばあの有名な「一本道」。もういままでに何回聴いたかわかりませんが、その都度、その曲にまつわる自分の記憶や感情が、積み重なったりすり替わったりしているのに気づくのも、ライブで聴くことの不思議だなと思います。

などと友部さんの話題になると、どうしても初期の曲が挙がりがちですが、でも最近の曲もとてもいいんです。

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友部正人「クレーン」

特に、昨年発売されたこの「クレーン」は近年の中でも一番好きなアルバム。東京ローカルホンクの演奏もすばらしくて。


そういえば、毎日新聞の夕刊で、3月一ヶ月間、本日1日(火)から、毎週火曜日に友部さんがご自身のうたについて書かれた文章が掲載されるのだそうです。毎日の夕刊…岡山では入手はなかなかハードルが高いのですが、もし購読されている方がいらっしゃいましたらぜひとも。

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今回もSちゃんが車を出してくれました。Sちゃんといえば蟲ライブでのもぎりの美女として、それとなく認識しておられる方もあるかと思います。彼女は実は札幌の出身で、10年ほど前、倉敷に移ってきて間もない頃からうちの店に来てくれるようになりました。親しくなったのは何がきっかけだったのか、もうあまり憶えていなかったのですが、こないだ、玉野の渋川海岸を歩きながら思い出話をしていたら、「北海道から越してくる前に読んでいた友部さんの『耳をすます旅人』に蟲文庫が載っていて、それで」と。ああ、そうだ、そうだった。当時彼女はまだ20代の前半で、そんな若い女の子が友部ファンというのもちょっと意外で、だから、あんまり親しくもない頃からいっしょに友部さんのライブに行ったりしていました。そうだ、友部さんつながりだったなあ、とすっかり忘れていたことを思い出しました。
Sちゃんとは、ベースとなる音楽の好みはわりと違うのですが、時々ツボが重なるところがあります。ちなみにそのツボの双璧(って変な日本語ですが)は友部さんとかえる目。
今回も、たいへんお世話になりました。どうもありがとう。

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『耳をすます旅人』友部正人(水声社)

川西町にあった、最初の店が登場するという、いまとなっては、個人的にとても貴重な記事なのです。
posted by 蟲文庫 at 18:04 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする