催しに原稿に苔内職に梅作業……思えば忙しい6月でした。ただいま少々休憩中。

ご近所のミントさん。

息子のプリン。

我が家のナドさん。
身の回りの猫のみなさんも、そろって休憩中です。
(しかしナドさん……太いですね。これでもずいぶん痩せたんですけどね。ただいま17歳)
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新入荷の本のご紹介。

『星を撒いた街』上林暁 傑作小説集(夏葉社)山本善行 撰 2200円+税
『レンブラントの帽子』『昔日の客』『関口良雄さんを憶う』につづく、夏葉社待望の4冊目。作家でも音楽家でも、こんなに次回作を楽しみにすることって、最近なかなかないなあ。あ、夏葉社は出版社ですが。
今回のアナウンスのあった時も「そうかあ、次は上林暁かあ、そうかあ、そうかあ、上林暁読めるんだあ、そうかあ」と、ひたすら口の中でぶつぶつと繰り返し、喜びをかみしめました。内容といいその佇まいといい、撫でさすりたくなるような、それももったいないような本です。
帯文に「30年後も読み返したい 美しい私小説」とありますが、いや実際、古本屋には、何冊在庫があってもうれしい本なのです。何年後であれ、並べれば確実に売れる。なんていうとずいぶん下品に思われるかもしれませんが、でもそれは、読みたいと思う人がいるということ他なりません。そんな本はそうめったにあるものではないし、本にとって、こんなすばらしいことは他にないと思います。そして、そんな本や言葉があるということは、未来への希望だとも思うのです。
ちなみに上林暁は「かんばやし・あかつき」と読みますよ。
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『東京ブルー』谷口巧写真集(圓津喜屋)2100円
日の出の一分。その青く写る時間をとらえた写真集です。夕方にもひとときありますが、あの青い時間には、わたしもふと立ち止まり、振り返ることがあります。なんでしょう、「うつろい」というものが意識にのぼってくるからでしょうか。この写真集を開いていると、やはりそんなふうに、自分の中のいろいろなものが、つぎつぎとまるで泡粒のようにたちのぼってくるのです。
ある方のブログに「20年後にもう一度見たい」という感想が書かれていたということ。この青く静かで端正な、でもじつはとてつもなく饒舌でもあるこの写真集からあふれる物語は、いったいこれからどれほどのものになるのか、と「20年後」をおもって少し意識が遠のきました。写真は、やっぱりすごいなあ。

署名入りですよ。サインもブルー。
谷口さんとは6年ほど前、雑誌『BRUTUS』の撮影がきっかけで知り合ったのですが、なんとなく不思議な縁があり、いまも行き来をさせていただいているのです。
『BRUTUS』2004年7月1日号より。

(余談ですが、店の表の水槽の中に仔亀時代のサヨイチが写っていますよ)。
この写真が「すごく印象に残っていて」と訪ねてくださる方や、観光での散策中に偶然通りかかって「いま、記憶の中のあの写真と結びついて! 倉敷だったんですね!」と駆け込んで(?)くださる方がいまも少なくないのです。
今日も、谷口さんの写真のファンだという地元の女性が「倉敷で、しかもサイン入りがあるなんて!」と買いに来てくださいました。その方は、谷口さんの撮影されたレミオロメンの写真に惹かれたのがきっかけで、いまはむしろ谷口さんの写真を意識するようになったということ。
谷口さんの写真、すごくいいもんなあ。ほんとうに身に余る光栄です。
谷口巧:
http://www.takumitaniguchi.com/せっかくなので、谷口さんとの不思議なご縁話をひとつ。
昨年の秋、いま進めている亀の本の監修をしてくださる矢部隆先生を訪ね、愛知県豊田市にある大学へ伺った時のことです。ご挨拶や取材が終わり、さて宴会となった沖縄料理屋さんで、「そうだ、この近くに同僚が住んでるから、あいつも呼ぼうか」ということになり、突然呼び出された「谷口准教授」。学部のエースといわれる若手の方ですが、硬軟取り混ぜあれこれとお話しているうちに、なんと谷口巧さんの実の兄上であることが判明。「えー、こんなことってあるのー!」とお酒の席だもんで、なんだかよくわからなけどむやみに盛り上がる一同。その場で谷口さんの携帯に電話をかけてくださり、「いま豊田にいて、なぜかお兄さまと飲んでますよー」とつながった。
というようなこともありました。あの時は、ほんとうにびっくりしました。弟さんのことをいつも気にかけておられる、とてもやさしいお兄さまでした。