お盆休み。数ヶ月ぶり、半年ぶり、一年ぶり、数年ぶり、そして「ようやく機会ができて」と初めて訪ねてくださる方々と茶飲み話に花が咲くここ数日です。この炎天下をわざわざお越しいただき、ほんとうにありがとうございます。
一年でもいちばん暑いこの時期、体力のないわたしは、早起きをしてひと仕事し、11時の開店時間まで仮眠、そうして19時に店を閉めたらまた仮眠、その後寝るまでの数時間に原稿書き、という軟弱な暮らしぶり。こんな時期に野外での催しや旅行などで元気に動き回っている人たちをみると、小学校のロードレースで、みんなから遥かに遅れてとぼとぼ歩いていた時のことが思い出されます。でも、いまこうして「田舎のおばあちゃん」的立場で、動こうにも動けない店番生活をしていることを考えると、なんだかまあ、ちゃんと収まるところに収まったもんだなあ、とぼんやりしているようでもちゃっかりしている自分の性格に感謝の気持ちがわいてくるのです。
そういえば、虚弱体質の人をつかまえて「体力作りを」とか「健康管理を」とか「気力の問題」などと唱える人がいますが、それはその人が生来丈夫だからいえることなのです。人にはそれぞれの凌ぎかたというものがあります。そう無理を言いなさんな。
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今月のはじめのこと、蟲文庫からも近い工房IKUKOで、地元の硝子作家・石川昌浩さんの個展が開かれました。

(7月31日〜8月7日(日)まででした。
会期終了後の宣伝となってしまい申し訳ありません)
石川さんの硝子はたいへん美しく実用的で、若手の硝子作家としては、いまや日本でも指折りではないかと思われますが、じつは彼が市内の大学の工藝コースの学生さんで、わたしが駆け出しの古本屋だった頃(かれこれ17年くらい前)からの知り合いなので、いまでもつい「石川くん」と馴れ馴れしく呼んでしまいます。なんだか申し訳ないなあと思うんですが「石川さん」とか言うのはほんとは照れる。すまんのう。
このたびの展示会は、その石川さんの「コップ」と「手」の写真集(『コップとて』)を出された大沼ショージさんとのコラボレーションということもあり、初日には大沼さんご本人や、以前から親交があるという、京都のオオヤコーヒ焙煎所の大宅さんなどもみえ、あらためてのご挨拶もかないました。石川くんさん、ほんとうにいろいろありがとうございます。
その大沼ショージさんの写真集『コップとて』そして『もののつづき』が蟲文庫にも入荷しました。今回のDMの写真も、各方面で大絶賛でしたが、大沼さんの活版猫が表紙を飾る『猫の本棚』木村衣有子 著(河出書房新社)と、写真を担当された『宮城県気仙沼発!ファイト新聞』も気になっています。

(右)『もののつづき』大沼ショージ写真集(凹凸舎)3150円
(左)『コップとて』大沼ショージ写真集(凹凸舎)2050円
この『コップとて』は、広告も兼ねた今まで見たことのない素敵でおもしろい写真集。言葉での説明は難しいのですが、この写真集には折り込み用の広告が別に付属していて。

例えばこのオオヤコーヒ焙煎所の「広告」を指定のページ(袋状になっている)に差し込むと。

ほら、こんなふうに!
ということなのです。すごくおもしろいです。
そして、こんなすてきなアイデアを実際の形にされたデザイン事務所(?)「書肆サイコロ」からも写真集と画集が入荷しています。

(上)『Drawing』長岡大輔作品集(書肆サイコロ 3150円)
(下)『神/うまれたときにみた』熊谷聖司写真集(書肆サイコロ 3150円)
ご来店の際には、ぜひお手にとってご覧下さいませ。