神保町では、ほとんど「社会見学」モードであちこち覗く。本気で見るのは均一台が中心。しかし、こんなに本が売れない時代でも町中が古本屋さんだなんて、ほんとにすごいところですね。
そういえば、初めて神保町を訪れたのは、蟲文庫を始めてずいぶんたってからのことですが、それまでは勝手に、木造平屋や木造二階建の古本屋さんが(谷中銀座みたいに)ずらずらと並んでいるのだと勝手に想像していました。都心のビル街なのを知って仰天しました。
お昼は、この日、おのぼりさんの私を案内をして下さったMSさん、Sさんと一緒に学士会館でランチをいただく。MSさんが学生時代によく利用されていた場所だそう。大学教授らしき年配の男性が、ひとりでゆったりと食事をしていたりする。建物も調度も、古く余裕のあるつくりで、会食にはもってこいの雰囲気でした。デザート付きのランチが1200円。ちょっと塩気が強い気もしましたが、美味しかったですよ。
ゆっくりしていたら、けっこうな時間になったので、ぼちぼちと早稲田に移動すべく九段下方面へ歩く。途中、この日の神保町最大の目的であった書肆アクセスさんへ。ちょうど畠中さんがいらした(お顔は存じ上げていなかったのですが、でも、きっとこの方が畠中さんだわ、と妙な確信がありました)のでご挨拶できる。初対面で緊張してしまった私は、意味もなく、前日撮った猫小屋写真などを取り出してお見せしたりする(なにやってんだよ、私)。そしてなんとそこへ偶然にも、あの南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)氏がいらっしゃって、さらにあわあわしてしまう。ああでも、このタイミングの素晴らしさには感謝せずにはおれません。蟲文庫、ありがたきしあわせ。
子供の頃から慣れ親しんだ岡山文庫(「岡山のカラーブックス」とは、海月書林さんのお言葉でしたか)がずらりと並んでいるのを見て、一瞬自分が何処にいるのかわからなくなる。なんと大変に評判がいいのだそうです。うれしいな。
「また明日、ゆっくり伺います」と、早々においとまする(も、時間配分を失敗して立ち寄れず。そうしたら、なんと飲み会の席に、私が見たいと思っていた『砂川闘争50年 それぞれの思い』(けやき出版)を持ってきて下さいました。畠中さん、ありがとうございます)。
そして早稲田へ。東西線の早稲田駅を降り、何はさておき古書現世さんを目指す(と言いつつ、途中で何軒か立ちより、ちょこちょこ買う。永島慎二のビニール袋もしっかりゲット)。そしていよいよ現世さん。おおっ、『古本道場』岡崎武志・角田光代(ポプラ社)の写真で見た通りです。奥の帳場へと直進し、ご挨拶。看板にゃんこのノラちゃんもいます。わーい。
さすがは早稲田の二代目のお店。振り返って、蟲文庫の棚の底の浅さ(へんな日本語ですが)に思い至らずにはおれませんが、でも「まだ12年のヒヨッコだも〜ん」と居直って、明日への糧といたします。
現世さんでは、『続・冬の華』中谷宇吉郎(裸本だけど100円〜♪ 検印もすてきなのよ)、『十牛図』上田閑照・柳田聖山、『神隠し』小松和彦、『明恵』奥田勲を買いました。ノラちゃんを触らせてもらって記念撮影も。ふふ。
しかし、ここでもう時間切れ。まだまだ古本屋さんがあるのですが、「また来年」と心に誓い“早稲田古本共和国”を後にする。
全体的に、文学や人文、社会が中心ということもあり、たいへん私の好みの町でありました。ほんとうにまた是非ゆっくりじっくりと思っております。
そして、MSさんSさん、寒い中、殆ど歩き通し(それも表の均一台メイン)の古本巡りにおつき合いくださり、ありがとうございました。ちょっとしたオフ会のようでもあって、うれしはずかしの蟲文庫でした。
夜は、友達のNちゃんが働くゴールデン街の奥亭というお店で、共通の友達HちゃんとYさんにあう。このお店は、工藤冬里さんなども、たまにいらっしゃるそうです。前日、友人宅でプリントアウトした猫小屋連続写真(しつこいってば)を壁に貼り付けて帰る(今朝、 "ママ" から、猫小屋写真、お客さんに大変好評との手紙が届く)。
そうそう、この “奥亭、水曜のママ” のNちゃんと、この日泊めてもらったHちゃんも(この「も」の親分は岡崎武志さんです)荻窪の「ささま」のファンだそう。
というワケで、次回は「荻窪、五反田編」です。

永島慎二の「早稲田袋」
このお店では、折口信夫全集の端本などを買いました。