びっとずつ読む。

『早稲田古本屋日録』向井透史 著(右文書院)
向井さんは、数十軒が軒を連ねる早稲田の古本街で生まれ育った二代目。わたしはといえば、
ある日突然の思いつきで始めた、組合にも加入していない地方の町の「古本屋らしきもの」、
とその立場やなんかはまるで正反対のようですが、でも丁度同じような頃から同じように古本
屋の帳場に座り続けているせいでしょうか、ひとつひとつのお話が、まるで自分もその場に居
たみたいにリアルに感じられます(もちろん、向井さんの文章が素晴らしいせいなんですけ
ど)なんだか古本屋やってて得した気分。
ああそうだ、うちでもこんなことあったなあ、なんて次々と思い出して、ふふっと笑ったり、
しんみりしたり、ちくりと胸が痛んだりする。
それにしても、あの宅買いに行った先で寝てしまったというお話、ほんとうに可笑しいです。いいわあ。
あと、帳場に座ってみたかったというお客さんの話も。
うちの店内で帳場をステージに友部正人さんのライブをした時のこと、演奏後にCDや詩集の
販売をされていた友部さんもやはり「僕は一度、この古本屋の帳場というところに座ってみた
いと思っていたんです」とうれしそうでした。そしてわたしのほうも、思いも寄らずその時
”お客さん”として蟲文庫の帳場に向かうという体験をしたのでした。
別冊栞の執筆陣は、田村七痴庵、河内紀、浅生ハルミン、堀切直人、南陀楼綾繁というそうそ
うたる顔ぶれ。こちらも読みごたえがあります。
装幀は画家の林哲夫さん、そして表紙の猫写真はあたくし田中美穂でございます。帯の ”
しっぽ” がまたステキなのよ〜、猫好きのツボですにゃ。そして、この帯をめくったところ
にも、谷中にゃんこが隠れて寛いでいるのです。
素人の猫写真がよくもここまで....と感無量。
22日配本、蟲文庫にも頒けていただけることになったので、週末には入荷するのではないか
と思います。サイン本ですよ、お楽しみに。
ところで昨日、ようやく大きな本屋さんまで行くことができました。岡崎武志さんの最新刊
『気まぐれ古書店紀行』もこの目この手でしっかり確認。こちらも近日入荷予定です。楽しみ
だなあ。
届いたあかつきには、『早稲田古本屋日録』と『気まぐれ古書店紀行』を帳場前に平積みする
のです。ふふ

表紙猫

裏表紙猫

