◆古本・倉敷「蟲文庫」◆
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2010年02月25日

暗闇と香りと観測室

桜の咲きそうな陽気ですがまだ2月。昨夜も倉敷天文台の観望会に行ってきました。

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こんな住宅街の中にぽこっとあるのです。

天文台といえば思い浮かぶドーム型の建物は現在資料室になっていて、実際はこの下の写真の観測室が使われています。

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スライディング・ルーフ観測室。
(※この写真は、完全に屋根が開いている状態です。建物の中にハンドルがあって、それをくるくるまわすと屋根が開閉する仕組み。)


はじまる前に事務室でコーヒーをいただいていると、テーブルの上に数日前の日付の入った南中のカノープスの写真が。つい先日、野尻抱影『星三百六十五夜』を読んでいたら、2月20日の「軍靴」という文章に、

《 戦時中、Kという優秀な技術者である若者が、これから満州に赴くということで暇乞いに来たのだが、開口一番、二、三日前の夜、ついに憧れのカノープスを見ることができた「満州へ立つという矢先に、思いがけなく憧れの星に逢えたのですから、うれしさといったらありません」と報告。それからしばらくその幸運を喜び合い、そして帰りしな「あ、そうそう、こんなもの貰いましたよ」と陸軍兵器学校を首席で卒業した記念の「陸軍大臣賞」の銀時計を見せてくれた。「この星の弟子は、名誉(?)の賞品よりも、カノープスに逢えたほうがはるかに自慢だったのだ」》(※原文をてきとうにかいつまんだものです)

というようなことが書かれてあり、ほほー、そんなに珍しい星なのか、と思ったところだったのです。聞けば、この写真を撮られた倉敷天文台主事のKさんも「これで2回目です」と。南の地平線近くに、ほんのしばらくの間だけ姿をあらわすため、めったにみられないのだそう。なにしろ、少年時代から、もう何十年も星空を見上げてきたKさんでさえ2回目なのですから。
今年は(?)次の新月から10日間のほどの間にもう一度チャンスがあるということです。


そしていざ観測室へ。この日は火星と月でした。月齢10くらいで、星を見るにはちょっと明るすぎますが、でも暖い夜だったので、たのしくゆっくりと望遠鏡をのぞくことができました。

月があんまりきれいに見えるので。
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(撮影:大野智久)
写真奥の双眼鏡の接眼部(矢印のところ)にいつものコンパクトデジカメをくっつけて撮ってみると。

なんと、
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思いがけずクリアに撮れましたよ。
(Ricoh R10・接写モード+手ブレ防止)

まあ要するに、双眼鏡がすばらしい、ということなんですけどね。

観測室は、寒水仙や金木犀など、香りのいい花を咲かせる植物にかこまれているのですが、これは「夜、真っ暗な中で観測している時に香りがするように」という大原孫三郎さん(もしくは聡一郎さんの奥さま)の発案によって植えられたものなのだそうです。昨夜は寒水仙のいい香りがりました。


posted by 蟲文庫 at 18:12 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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