◆古本・倉敷「蟲文庫」◆
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2010年09月18日

苔料理専門店とハノイの亀

動きやすい気候になってきたせいか、ここ数日「わーひさしぶりー」という挨拶がつづいています。昨日は特にそんな日だったようで、数年ぶりになる古くからの知り合いが立て続けに覗いてくれました。一日中帳場でおしゃべり。みんないつのまにかお母さんになっていました。

10年ぶりになるKさんが「7年前にベトナムに行った時のお土産」をくれる。
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蟲文庫の亀判子。

図案を渡すと数日で判子にしてくれるお店はインドネシアの路上にもありましたが、ハノイの街角にもきっとあるのでしょうね。あれから彼女は結婚し子供をもうけ、いま6ヶ月になる赤ん坊をつれて来てくれました。その間も無くさずに持っていてくれたんですね。うちの店も続いててよかったな。

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昨日の朝日新聞の朝刊に小川洋子さんのインタビューが載っていました。
「サヤゴケの燻製、ギンゴケの酢味噌合え、ムクムクゴケの蒸し物、ヒメジャゴケの煮つけ、タマゴケのお椀、ウマスギゴケの天ぷら……。」新刊の『原稿零枚日記』の中に、苔料理専門店に迷い込むというお話があるのだそうです。そしてそのことについて「かつて住んでいた倉敷の女性古書店主がコケの本を出して、そのなかでコケを食べた体験を書いていました。小説家が頭で考えること以上に、この世の中は奇妙なことに満ちていると思います」という小川洋子さんご自身による言葉が書かれてありました。『苔とあるく』の内容がアイデアの一助になったということのようです。うれしいです。でもやっぱり、そんなに妙なことなんですね。食べるというのは。

こちらに全文掲載されています。
http://book.asahi.com/clip/TKY201009160248.html
タイトルだけでも気になる『原稿零枚日記』。ぜひ読んでみます。

『苔とあるく』は、じつは意外に売れました。現在三刷りで累計1万3千部。でもこの本も、特に最初は「は?なんで苔なんか??」と、いかにも苔らしいぞんざいな扱いをうけたものです。そんな状況ですから、ましてや「食べる」となるともうほとんど変人扱いです。みなさんのそんな反応はちょっと意外だったのですが、しかし実際にもっと「意外」だったのは読者である、自分以外の人たちのほう、ということだったんですね。「苔を食べる」なんてね。
確かに、その新聞記事の簡潔な文面だけを読んでいると、ああ、やっぱりちょっと変かもね、と昨日初めてそう思いました。変というのはそういうものなんですね。

ミズゴケの天ぷら(手前)。
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これはほんとに美味しいです。天つゆより、塩が合います。

(注:コケの専門家でも、食べたいとは思わない人もたくさんいますので誤解のないように。コケ好きがみんな食べたいと思っているわけではありません。虫屋の方々がみな昆虫食に関心があるわけではない、といったところでしょうか。コケについても、実際に食べたことがある人のほうが少ないと思います)
posted by 蟲文庫 at 12:38 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする