文庫の山の中から古い岩波文庫の『寺田寅彦随筆集』(第一巻)が出てきたので読みはじめると止まらない。
〈書棚に竝んでいる書物の名を硝子戸越しに眺めるだけでも自分には決して無意味ではなかった(中略)此等の書物の中から流れ出る一種の空氣のやうなものは知らぬ間に自分の頭に滲み込んで、丁度實際に讀書をすることによって得られる感じの中から具體的な凡てのものを除去した時に殘るべき或る物を感じさせるのであった〉
なんて、いいなあ。書くのいやになるな。
ところで来月、コケ偵察のため屋久島に行くことになりました。あの「コケの島・屋久島」です。
3月12日(月)〜16日(金)まで4泊5日。なにしろ行き帰りだけで一日ずつかかるのです。文字通り海外。
この時期にこんなに店を休むのは色んな面でキビシイのですが、ただこういうこともタイミングです。ひとつ思い切って。
屋久島はこのたびが初めて。しかも単独行なのですが、でもさすがはコケの島というだけのことはあって(?)、ちゃんと頼れる知人がいるのです。
〈縄文杉往復マシーン〉と呼ばれている屋久島在住のガイドのH氏。岡山コケの会関係者でもあります。お仕事を調整してコケ観察にお付き合いくださるとのこと。こんな心強いことはありません。うれしいです。あ、でも縄文杉まで行く気はないんですよ。だってしんどいもん。わたしは杉を見上げるより足下のスギゴケとたわむれたいです。
それから、数年前に屋久島へ移り住んだはずのMちゃんに手紙を出してみると、変わりなく元気にしているとの返事がきたので、何年かぶりの再会も果たせる予定です。ちなみに彼女の実家はなんと神保町。古本屋さんではないですが。
屋久島とは対極の風景。

京都は東福寺の方丈庭園北庭。
作庭は重森三怜。岡山の人です。