スペースは蟲文庫と同じ(10坪前後)くらいかな、いいかげんな本など、ほとんど無いという羨ましい品揃え。やっていくのは大変だろうけど、でも古本屋など、どっちにしても大変なのだから、置きたい本を置きたいしな、とも思う。
わたしの大好きな尾崎一雄が何冊か並んでいる。「あ、これ持ってない」と思って、『閑な老人』を手に取ると、中に、その名も『苔』という、晩年の、随筆とも小説ともつかないような文章をみつける。しかも、ぱらぱらっと目を通してみると、〈苔のことはよく知らないけれど〉と書きながらも、〈何種類かある〉庭の苔に、じつに適切な手入れをほどこしているではないですか。さらには、〈根本まで枯れ色になった苔をより分け、丁寧引き抜いて〉いるうち、セミタケ(冬虫夏草)まで見つけてしまうのだ。さすがは『虫のいろいろ』尾崎一雄。すばらしい。
抱きしめるようにして購入(という、この表現は岡崎武志さんの真似)。苔の島がえりに、ぴったりすぎるくらいの好いお買い物ができました。
市から戻ってこられた城田さんが、よかったら、と近くにある「小文字山」を案内してくださる。京都の「大文字山」に対しての「小文字山」。季節には「小文字焼き」が行われるのだとか。
北九州市の市街地付近、苔は馴染深い種類が多く、ほっとした気分になる(屋久島の苔々には、今回、とてもたちうちできなかったもので)。

小文字山にゃんこもいっぱい。

こちらは、古書城田さんの店番ねこ「月夜」ちゃん。
城田さんも、たいへんな猫好き。
「早く帰って、ナドちゃんに会いたいでしょう....」としみじみ言われる。
猫好きでないと言いませんよ、こんなこと。
仙台の火星の庭さんといい、「いかに地方で生き残って行くか」という種類の話しができる、かず少ない仲間でもあります。