◆古本・倉敷「蟲文庫」◆
mushi-bunko.com

2006年03月29日

亀の子と中山先生

亀の子束子のお馴染の亀さん。
ニホンイシガメの特徴を非常によく掴んだスバラシイ意匠です。

なぜか所有している亀の子束子前掛け。
63291.jpg
ニホンイシガメは小顔でお尻が大きくてギザギザ。
(母親に撮ってもらったらブレた..10枚以上撮ったのに..)


昨日いらした年配の男性、見覚えはあるのだけれど、ええっと.....と思っていたら、「星ケ丘の中山です」と。おお、かの枚方・星ケ丘洋裁学校(現在はソーイングテーブル、ソーイングギャラリーとしても有名)の中山先生ではないですか! 岡山市にお住まいの古いお友達を訪ねて来られたのだそう。ちょうど手伝いに来てくれていた母と、ルーツ中国山脈(宍粟、朝来、出石あたり)+洋裁学校つながりで盛り上がる。

最近は、大阪の古本喫茶・アトリエ箱庭の幸田さんとの行き来から、百万遍(知恩寺)の古本市が楽しみになったのだとか。そういえば、とある宴会で幸田さんや某A新聞の石井章さんにお会いしたのも、もう2〜3年前のこと。わたしもまたお目に掛かりたいです。石井さんから戴いた早川義夫のCDは大のお気に入り。

ソーイングギャラリーもアトリエ箱庭も、まだ行ったことがないので、今年中には行けたらな。古本市も。あ、京都のガケ書房(ニホンイシガメがいるのだそう!)も〜。
posted by 蟲文庫 at 16:41 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月24日

自分の本棚

来月あたまのイベントに向けて、毎日少しずつ、ステージ(帳場)と楽屋(在庫室)を片付け中。いつの間にやら埋もれてしまっていたあれやこれやが発掘されてなかなかたのしいです。ついでに在庫室内でごちゃごちゃになりつつある私物と商品とをきちんと分類。古本屋などやっている割には、わたし個人の "蔵書" は、かなり少ないほうだと思います。しかも、好きで何度も手に取る本というのは、いわゆる古書価値のつかないようなものが大半。これ、売ったらなんぼにもならんやろな...と思いつつ、素っ気ないスチール製のマイ本棚を眺める。でももちろん、手放す気などさらさらない大切な本ばかりなんですが。

ところで今日、本の値段付けをしていたら、『東洋哲學史』杉浦重遠 著(文化書房)昭和七年 の裏見返しに「東京 早大グランド坂上 大觀堂書店」という値段シールの半券がついていました。あれ?もしかして尾崎一雄が通っていたという古本屋かな。えー、なんかちょっとうれしいかも〜。わたしはこの値段シールの半券を眺めるのが好きなので、自分のところで値段を付けるときも、まず剥したりはしません。どんなふうにめぐりめぐってここまで来たのか、想像するだけでもたのしい。

こんなの。
6324tk.jpg
ずいぶん古そうだし、ひょっとして尾崎一雄が触ってないかな?一枝さんとか(ありえんてば)

で、こんなことばかりやっているから値付けがなかなか進まないのです。こちらも毎日少しずつやるしかない。がんばる。

posted by 蟲文庫 at 18:14 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月18日

読めない本

先日、ここのところずっと気にかかっていた、ある古い地味な作家の入手のあまり容易でない文庫本(ちなみに旺文社の)が、ひょっこりと手元にやってきました。これだけでも充分に驚きだったのですが、さらに読みすすむうち、それはわたしが店を始めてこの13年ほど、ずーっとずーっと頭と心の隅にひっかかっていた、わたしの店の始まりに関わる「あるお話」だったということが判明。もう、アタクシ、それから何日かになろうというのに未だ興奮状態です。その本を手に取ると、途端にぼーっとしてきてちゃんと読めないという阿呆。
あー、だから古本ておもしろいんですよね。

なんて、ワケのわからん話ですみません。また落ち着いたら書きます。でも、落ち着いて書いたら大した話じゃないんですよ、きっと...。古本てそんなもんです。でもそこがいいのよね。


で、今日は雨降りで気圧が低くお客も少なく怠く眠いので、赤瀬川原平の『ニャーンズ・コレクション』を眺めて「ぶははー」とか笑いながら過ごす。こういう日にはもってこいの本です。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《おしらせ その1》

林哲夫さんから個展の案内状をいただきました。

「遅日小品展」銀座・岸本画廊にて、3月30日(木)〜4月5日(水)
〈岸本画廊〉銀座6−12−15、電話03−3571−5122。

63181.jpg
わたしは遠くて行けないけれど.....残念。

 《おしらせ その2》

その林哲夫さん装幀の『早稲田古本屋日録』再入荷しました! 見本に出していたものまで売れてしまっていたのです。これでひと安心。

 《おしらせ その3》

あがた森魚ライブ」は、おかげさまで定員に達しましたので、受付は終了させて戴きました。
(当日、佐藤ふくみ嬢(バイオリン)のサポート確定です)


posted by 蟲文庫 at 18:29 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月16日

新しい店番は20年後のわたし

好評につき現在蟲文庫でも品切れ中の、向井透史 著『早稲田古本屋日録』。早ければ今週末にも増刷分が再入荷する予定です。今回もサイン入りですよ(重版にサイン入りって、もしかして珍しいかも?)。
向井さんの文章からは、言葉では説明のむつかしい古本屋の根っこのようなものが浮かび上がってくるようです。おすすめ。

そういえば、これまで大筋では協力的であったものの、古本屋の仕事そのものには殆ど関心を示さなかった母親が、この『早稲田.....』をきっかけに俄然目覚め、以来、岡崎武志さんの『古本道場』、『古本極楽ガイド』......と次々と読破。これはもしかして、そう遠くない将来「新しい店番」の誕生か? と密かにほくそ笑んでいるのです。
一昨年の父の急逝以来、自宅に引き籠もりがちだったのを、なんだかんだと店の手伝いに引っぱり出しているところなので、そういう意味でも本当にありがたい。

そんなわけで(?)最近、友人知人が来る度に「母です」と紹介しているのですが、みんな決まって「言わなくてもわかるよ」とクスッと笑いながら応えてくれます。そう、そっくりなんですよ。20数年後のわたしがコレですという感じ。でもほんと親子というのは、年がいけばいくほど似てきますね。死に際の顔なんて気味が悪いほどそっくりになるもんね。

そのうち半日〜一日くらいの店番なら頼めるようになるかもなあ.........そしたら18切符で下鴨神社や知恩寺の古本市なんかも行ってみたい。そうだなあ、これから少しずつ勉強してもらって、『気まぐれ古書店紀行』が楽しんで読めるようになったら大丈夫かも。


ところで、昨日、にゃんとあの一青窈さんがいらっしゃった(!)のですが、例によって気の利いた応対のできないわたしは、ついついまた「母です」と、意味もなく母を紹介してしまいました(←バカ)。
ちなみに、かなりわたしのツボなものをご購入くださったので嬉しかったです。さっぱりとした感じのお綺麗な方でした。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《お知らせ》

4月上旬、当店内にて『 OraNoaライブ』『あがた森魚ライブ』を行う予定です。詳しくはコチラ→「蟲文庫春の催し

「あがた森魚ライブ」のほうは、定員まであと3名となりました。ご希望の方はお早めに。

posted by 蟲文庫 at 14:19 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月12日

真夜中の仁義なき戦い

イタチです鼬。

この前から、朝、店に出てくると、どうも「何か」が店内を走り回った形跡がみられるの
です。帳場のカウンターの上のDM類が散らばっていたり、不安定に積み重ねていた文庫
の山が崩れていたり....。猫たちががいる季節ならわかるのですが、いま居ないし(冬場
は、暖かい実家に預けている)。でもネズミにしては動きが激しい.....むむむ.....思ってい
たら、昨日のお昼、裏庭をササッと駆ける細長い影を目撃。それから数分して天井裏で「
チチチッ」というネズミの悲鳴。......ああ、これはイタチ、ですね。

というわけで、真夜中の蟲文庫ではイタチとネズミの仁義なき戦いが繰り広げられている
模様。やっぱり、「おどりゃあ!」とか言ってるんでしょうか。岡山弁と広島弁はほぼ同
じなので、そうかもしれませんね。柱の影からちょっと見てみたい。

(注:「イタチ」の姿がよくわからない方は、フェレットを思い浮かべてください)

ネズミといえば、岡山にはヌートリアという巨大ネズミ(猫くらいの大きさ)がたくさん
いますが(戦中に毛皮や飼料のために飼育されていたものが、その後放置され野生化)。
これが店内でイタチと戦っていたら相当コワイですね。

「イタチ VS ヌートリア 真夜中の死闘@蟲文庫」、円谷プロみたいですね。



posted by 蟲文庫 at 19:42 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月11日

「悲しいだけ」の枕

藤枝静男の『悲しいだけ』というタイトル、いいですね。

最愛の妻を三十年余りに及ぶ看護の末に亡くし、その "悲しいだけ" の中で書かれた一連の小
説や随筆(昭和51年頃)の中に、無宗教だった妻の遺骨の一部を、生前望んでいたように倉
敷の大原美術館(蟲文庫の近所にある)の庭に埋めようとして断られたという話があります
(どの本に収められている、なんという随筆だったか失念)。

はじめ、”受付の若い女性” に断って一度は埋めるのですけど、ややあって事務長が登場し
「そんなことをされては困るから、もって帰れ」と言われて(当然ですが.....)動揺しなが
ら掘り返すのです。そしてその掘り返した骨片をポケットにおさめて帰りかけると、先程の事
務長が追いかけてきて「残ってましたよ」と骨片を手渡されます。それでよく見てみると、自
分のポケットにあったのは骨と見間違えた石ころだった。という、あらすじはだいたいこんな
ところ。そんないたたまれないような、どこか滑稽なようなことが淡々と書かれた短い文章で
す。語弊はありますが、好きな話です。

ところで大原美術館というのは大原家による私立の美術館なので、受付などは近隣の縁故のあ
る家の子女が勤めるケースが多かったようなのですが(今現在は違うかもしれません)、こん
な出来事があれば、その「受付の若い女性」は今でも記憶にあるでしょうし、その時には「こ
の前こんなことがあったんよぉ」などと近所では小さな噂にもなったことでしょう。
そういえば、うちの隣の奥さん(60代)も、結婚前は美術館近くの施設で働いていたそうで
すし、知り合いには、かつての大原美術館受付嬢という人もあります。ふ〜む...ここはひと
つ聞き取り調査でもしてみるか...と、またまたとてつもなく無駄なことばかり思いついてし
まう今日この頃。春でしょうかね。


「悲しいだけ」の枕
3611fs.jpg
布張りで気持ちがいいらしい。


でもそうだ、大原美術館はその後、かなり大規模な改装や増築をしているので、もし首尾よく
骨を埋めることが出来ていたとしても、いまはどうなっているかわかりませんね。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《お知らせ》

4月上旬、当店内にて『 OraNoaライブ』『あがた森魚ライブ』を行う予定です。
詳しくはコチラ→「蟲文庫春の催し

「あがた森魚ライブ」のほうは、おかげさまで定員までもうあと僅かになりました。
ご希望の方はお早めに〜。




posted by 蟲文庫 at 15:13 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月09日

今日は蟲バッグ製作

うちのような店でも、たまーに万引きがあります。本当にたまーになんですが(たまーにし
か“気付かない” わけじゃないよ)、けっこう大物をやられるので痛手は大きい。今回も、
バウハウス叢書『材料から建築へ』 もーやーめーてー 、こんな貧乏な店で。

でも確かに、この度の「大改装」の後、ここはちょっとアブナイかなと思っていた場所だった
のです。そんなところにアート・建築関係を置いたわたしが悪うございましたよ(でも、並び
順のコダワリとかも多少はあるのよ)と反省し、さっそく棚の本を入れ替え。死角には、その
対象になりにくそうなものを配置してみました(地味なんとか、堅いんとか)。

そんなわけで、只今蟲文庫は、なぜか柳田國男集の横にアラーキーが....なんていう珍妙な棚
となっておりますが、そんなこんなの事情もありますので、なにとぞご容赦くださいませ。
また追い追い配置なども考えます。

きーっ と腹が立ったときは猫を撫でて落ち着きを取り戻す。
6309mr.jpg
今日のミルさん。別荘の二階にて。


で、いつまでも腹を立てていても仕方ないので、ひとしきり猫を撫でて落ち着いたあとは、明
日へ向かって活動を始めましょう。今日は蟲バッグ製作。

蟲バッグ」は、地味に一枚一枚わたしが作ります。
布を裁断し、アクリルグァッシュでロゴを描き、そして縫製。たまに帳場でこのロゴ描きをやっていると、お客さんから「えー、そうやってひとつひとつ手で描いてるんですか?」とびっくりされます。
......他の方法しらんし.....。

6309rg1.jpg
蟲バッグのロゴ、地味に手描きするの図。
(年輪のようなヘンな模様は写真のせいです。実際は無地)

「図書館用(大)」2種類と、「単行本用(小)」の計3種類があります。一番人気があるの
が図書館用の横長タイプかな。生地は薄手ですが、端はきちんと袋縫いにしているので丈夫で
す。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《お知らせ その1》

『早稲田古本屋日録』向井透史 著(右文書院)の増刷が決まりました!わ〜い。蟲文庫でも残りあと僅か
です。来週末には再入荷の予定。おもしろいんですよ、おすすめ。

 《お知らせ その2》

4月上旬、当店内にて『 OraNoaライブ』『あがた森魚ライブ』を行う予定です。
詳しくはコチラ→「蟲文庫春の催し


posted by 蟲文庫 at 19:40 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月06日

捨ててあげる

今朝は、野の花工房・Mさまが「」を引き取りに来てくれたので、ついでに、普段はなかな
か思い切れず積んだままにしてる廃棄本を古紙回収業者に持っていくのも手伝ってもらう。古
本屋が本を捨てるというと「えーっ?」と驚く人もあるけれど、ここで自分の店なりの線を引
かないことには仕事になりません。だいたい「捨てるよりはねえ」というセリフとともに持ち
込まれる古本は、まず捨てるしかない場合が多い(ヒャッカジテンとかねえ、知恵蔵とかね
え、本多勝一センセイとかねえ)。だから、あなた方が捨てられないと言うから、代わりわた
しが「捨ててあげる」のです、くらいのイキオイつけて「えいっ」とね。
わたしとて、好きで本屋をやっているからには楽しい訳がない。でも仕方ない。

その後、ついでのついでにホームセンターを回ってもらい材木を購入。車の運転が出来ない
ので、大工仕事は得意でも材木自体をを調達するのが大変なのです。どうしてものときは、片
道30分の最寄りホームセンターまで歩いて買いに行きます。1〜2枚ずつ何往復も.....
孤独な蟻さんになったような気分です。いやほんと助かりました。これでようやく「均一棚
を作ることもできます。もうだいたいの構想は出来ているので、あとは切って組み立てるだ
け。均一用の本もだいぶたまってきています。

ただ、またまた腰が痛くなったので、しばし休憩。確定申告の続きでもしようかな(まだ終
わってない...)。


   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《お知らせ》

4月上旬、当店内にて『 OraNoaライブ』『あがた森魚ライブ』の2つのライブを行う予定で
す。詳しくはコチラ→「蟲文庫春の催し


posted by 蟲文庫 at 14:35 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月04日

俺ノ遺産ハ太田胃散

店内大改装したのはいいのですが、巨大な棚を解体したため、おかげで釘だらけの大量の廃材
が出来てしまいました。ものを捨てるのもひと苦労の昨今。特に事業ゴミともなると、ほんと
頭がイタイのです。

材木と釘を分別......もう、考えただけで気が遠くなります。
こんな時、父が生きていたなら、ほいほい喜んで焚き火(男の人は焚き火が好き)の材料にし
てくれたでしょうが(燃やすと釘だけ残るのでラクなのです)、その父も今はもう何処かへ..
...。う〜む、こまった...と裏庭に山積みの廃材を見やりつつ困っていたら、ちょうどそこへ
いらした市内で彫金などをされている、野の花工房のMさまが「あ、うちでお風呂沸かすのに
使うよ、薪がなくなって困ってたのよ、近々取りに来るから」と、いうワケで「風呂の焚き付
け」というなんとまあ伝統的な方法で片付けて下さることになったのでした。これはきっと、
互いが呼び合っていたのですね(ぷ)。あれ?父の仕業かしらん?ほんとは自分で燃やしたか
ったのに〜 とか。

でも、そういえばうちの両祖父母宅もお風呂は薪で沸かしてました。もちろん五右衛門風呂。
あの板を踏みながら湯船に入るのは、けっこうコツがいるのですよね。子供は体重が軽いので
なおさら難しかった。

ともかく問題は一気に解決しました。Mさま、ありがとうございます!


野の花工房で購入したお気に入りのキーホルダー
DSCN4928.jpg
「俺ノ遺産ハ太田胃散」

ホームページはこちら http://edigdig.com/nonohana/


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 《春の嵐の夜の古本屋》

4月8日(土)の「あがた森魚ライブ」は、《春の嵐の夜の古本屋》というタイトルに決まり
ました。今回、このライブのためにはるばる東京から駆けつけてくれるNちゃんがアイデアを
くれました。ありがと。
ちなみに「春の嵐の夜の手品師」という曲をまんまもじったものです。

既にぼちぼち予約も入り始めました。何かとお忙しい時季とは思いますが、みなさまどうお越
しくださいませ。詳しくはコチラを。

posted by 蟲文庫 at 21:08 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月03日

店内大改装

昨日、急遽 店内の大改装をしました。店の真ん中の変形の棚が、場所をとっている割には収納力なさすぎなので、にゃんとかせねばと常々思っていたのです。

で、さすがにひとりでは厳しいので、いつもは家で猫とのんびりしている母親に出動要請かけ
朝から棚の解体&あらたなる棚の製作。作るより壊す作業のほうが数段大変です。
元・洋裁店(ちなみに場所は大阪の住吉)のお針子で、特技はレース編みという母ですが、とにかく「片方を押さえてくれる」とか、そういうのだけでもずいぶんはかどるのです。おかげで昨夜遅くには、どうにか形になりました。

完成〜。
5303tn.jpg

写真には写っていませんが、この左側に本棚が2本増えました。
スッキリみやすく収納力もかなりアップしたのです。
この写真ではよくわからないとは思いますが....。


ところで、科学映画監督の樋口源一郎さん(『真性粘菌の生活史』などで知られる)が亡くなったそうです。明後日の日曜、阿佐谷にある《夜の午睡》というお店で、このフィルムの上
映会があると小耳に挟んだのですが、はからずも「追悼上映」になってしまうのですね。

   ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  《お知らせ》

4月上旬、当店内にて『 OraNoaライブ』『あがた森魚ライブ』の2つのライブを行う予定で
す。詳しくはコチラ→「蟲文庫春の催し

*『あがた森魚ライブ』のほうは、架空楽団の佐藤ふくみさん(バイオリン)がゲスト
  出演してくださるかも!


posted by 蟲文庫 at 14:02 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月17日

新しい店判

少し前の某日、ちょうどその日が蟲文庫の開店記念日だというのを思い出し、せっかくだから
何かしようとあれこれ考えた末、懸案だった新しい店判をデザインして近所の判子屋さんに持
ち込みました。

これまでの蓮マーク(このブログの左上参照)も、もちろん気に入っているのですが、ただ、
ベタ面が多くて非常に捺しにくい。できればもう少しラクに捺せる「線」のやつも何か欲しい
なあと前々から思っていたのです。
紙袋のハンコ捺しというのも、けっこう時間のかかる作業でして。

で、ついに出来上がってきました。うれし〜。

6214nt.jpg

"ナドさんツブさんの後ろ姿"は、最近めきめき消しゴム判子の腕をあげてきた友達のKちゃん
作。蟲文庫のロゴは、ナカガワユウヰチさんのオリジナル(判子屋さんはさすが、「この書体
は珍しいですねえ」と、ためつすがめつしておられました)。ということで、わたしはまあ、
それらを組んだだけなんですけどね。

ところで店判て、「てんばん」でいいのかな?「みせばん」じゃないよね。

新しい店番.....ええなあ、判子捺しくらいしてくれそやな。「そこの全集、月報全部あるか
見といて、硫酸紙破らんように気いつけてよ」とか、ええなあ。



イラストの元になった写真はこちら
posted by 蟲文庫 at 12:19 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月12日

紙魚気分

ここのところ、少し暖かい日を見計らっては、すごいことになっている在庫置き場の整理をし
ているのですが、今日はまた大量の客買いがあり、さらにすごいことに....。古本屋の店主が
よく自分のことを「紙魚」に例えたりしますが、あの気持ちはほんとうによくわかります。
本の隙間暮らし。

そういえば、紙魚には好きな活字がある、なんて書いていたのは澁澤龍彦でしたっけ。インク
と紙との絶妙のブレンド?「たまらんわ〜この活字」とか。澁澤サマはそんなこと言わんか..
...。

ちなみに今日入ってきたのは、福永武彦、堀田善衛、坂口安吾、埴谷雄高、高橋和巳、梅原猛
安部公房、大江健三郎などをメインに400〜500冊。普通ならどうしようかと頭を抱える
ような(というか買わない?)難しいラインナップですが、うちはけっこう大丈夫なのです。
もちろん売るには時間がかかるけど。

そしてその方は、全部の買い取り価格より高い『神山茂夫著作集』をお買い上げくださいまし
た。もうこれだけで古本屋の仕事が完結。ありがたや〜。ちょっとおまけしました。


話は変わりますが、某所で話題になっていた「文庫占い」をやってみました。わたしは「中
公文庫」さん。武田泰淳の『富士』の書影がバーンと出てきました。

文庫占いはこちら http://u-maker.com/202124.html


  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《豆本展終了》
豆本展は、おかげさまで本日をもちまして終了いたしました。お越しいただいた皆さま、あ
りがとうございました。中には、この寒い中を大阪や高知、愛媛からいらした方などもあり
ました。今後、棚の一部に豆本コーナーを作ろうかなとも目論み中です。

《新入荷》
*蟲文庫開店以来の長いお付き合い、ミズタニカエコ嬢の新作ポストカードと蔵書票が入荷
 いたしました。数に限りがありますので、ファンの皆さまはお早めに。当サイト内の「画
 廊ミズタニ」(仮題)も着々と準備中です。

*加藤休ミさんの『二葉屋』(第二十八号)も届いています。フリーペーパーですので、こ
 ちらもお早めに。

DSCN4884.jpg
ミズタニ嬢の蔵書票。
後から自分で名前を入れるタイプは邪道だそうですが(本人談)。


posted by 蟲文庫 at 14:35 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月03日

裏庭の赤いオーヴン

*まずは訂正。元日の日記の<今年の抱負>が<豊富>になっていました。大変失礼いたしま
 した。まったく先が思いやられます...。

蟲文庫も何かひとつはお正月らしいことを、ということで、店の裏庭にあるオーヴンでお菓子など焼いて「お年玉」を配っています(いちおう、古本屋でいきなりお菓子を手渡されても、それなりに受容れてくれそうな方を見極めて)。最近わたしは林檎マドレーヌブームなので、今日も林檎マドレーヌ。朝から、まるで洋菓子屋のような匂いがたちこめる蟲文庫です。

数日前の日記で、西荻界隈のウワサをしていたら、なんと昨日、荻窪の「ひなぎく」ご夫妻がみえました。なんでも、ご主人が倉敷の出身で(あら、やっぱり荻窪と倉敷って.....)、これまでも、この時季には帰省されていたのだそうですが、「まさかお正月から開いているとは思っていなくて(笑)」ということで、はじめましてのご挨拶。
そういえば、年末にお目に掛かった海月書林さんは、来夏から「ひなぎく」の一部で店舗営業も始められるのだそうですね。そちらも愉しみですが、でもその「ひなぎく+海月書林」になる前にも一度訪ねてみたいような気がします。
(この前の荻窪は、時間がなくて「ささま書店」オンリーだったのです)

そして夕方、私の某友人を十ほど若く男前にしたような、立派なリーゼントヘアに革ジャンのお兄さんが、それもニコニコしながらいらしたので、「えーと、えーと....(人の顔を覚えるのは、あまり得意でない)」と思っていたら、東京で roumandouというネット書店をされているKさんとその奥様でした。覚えてないはずです、この方も初対面。
ご実家が岡山だとは伺っていましたが、東部の備前市周辺で、倉敷市とは生活圏が全く被らない地域。この度、わざわざ足を伸ばして下さったようでした。
お互い、亜種の古本屋ということで、そんなお話しも愉しかったです。

こんな、「まあまあ、こんなところまでわざわざ.....」と恐縮せずにはおれない時にでも、「お年玉お菓子」なんかをお渡しできたりすると、少しは気が楽になるのです。....なんか、やっぱり“親戚のおばちゃん”みたいですね。

「まあまあ、○○ちゃん おおきゅうなってぇ。ええ?もう帰るん? じゃったらこのお菓子でももって行かれぇ(標準語訳:まあ、○○ちゃん、ずいぶん大きくなったわね。あら、もう帰るの?じゃあ、このお菓子でも持って行きなさい)」これ、「ひなぎく」ご主人とroumandouさんは、ネイティブな発音(?)で読めるはずです。あ、百間先生もね。

なにはともあれ、この度はありがとうございました。お目に掛かることができて、とても嬉しかったです。また是非ゆっくりいらしてくださいね。

6103.jpg
ミルさんの尻に敷かれてる赤いのがオーヴン。

台所が狭いので、裏庭にはみだしています。

posted by 蟲文庫 at 12:26 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月28日

『彷書月刊』の取材

例によってお昼頃、先輩業者のMさんが来られる。図書館の廃棄本の収穫などか
ら、「田中さん好きそうなやつ」と言って何冊か貸してくれる。『東京面白倶楽
部』矢吹申彦(話の特集)これは、後半の人物のところが面白そう、内田百間に
久保田万太郎、そしてムーンライダーズ団員というページまである(私は武川雅
寛さんのボーカルが一番好きです)それと、『現代怪談集』堀田善衛(東京創元
社)、最近にわかに堀田善衛ブームなのです、私。『虫のいろいろ』尾崎一雄(
新潮文庫)。最近、本の貸し借りばかりしている情けない我々。

ところで、いつもそんな脱力の場面にばかり登場するMさんですが、実は声が大
きくカン高く血圧も高い、かなりハイテンションの話し好き。そして善し悪しは
別として、どんな事に対しても自分なりの明確な意見を持って譲らない理屈の人
です。さらに頭の回転も早いときているので、Mさんを論破しようと思えば相当
に骨が折れることでしょう。私は主に「ふんふん」と相槌をうつ係です。
でもそれだけで、ずいぶん勉強になるのは、さすが古本屋のおやじさん。

先輩といえば、先日ふいに大先輩業者N書店のS氏がいらしたので「な、なにご
とかしら?」と思ったら、『彷書月刊』の「全国古書店案内 岡山編」の原稿を
書くことになっているので、その ”取材” ということでした。
N書店といえば、先代から続く地元の有名店。蟲文庫など完全におよびではあり
ませんが、ただS氏は、古書店主にしては珍しく、かなり本気の自然観察派(と
いう派があるのかどうかは知りませんが)。その息子さんも、今どき珍しい本格
的な虫キチで、地域の博物館の活動では、高校生ながら講師まで務められるほど。
おかげで辛うじて共通の話題らしきものがあります。今回もやはり、私相手に古
本屋の話しをしても仕方ないので(お恥ずかしいかぎりで....)ただひたすら「博
物館の○○先生が」とか「どこそこの山は」という話しに終始しました。
店に関しては、電話帳に載っている住所と電話番号に間違いはないかというのを
を確認し、「まあ、趣味の古本屋じゃな」と言って帰られたので、『彷書月刊』
には、そのように書いてくださるのだと思います。
店主の昼食が済んでから開店、雨天休業のMさんの店もやっぱりそう書かれるの
かな。

『彷書月刊』は、古本屋を始める前からMさんの店などでよく買っていて、この
前まとめてみたら、かなりのバックナンバーがありました。前もどこかに書いた
かもしれませんが、そもそも私が「蟲文庫」という屋号に決めたは、編集長の田
村治芳氏の「なないろ文庫ふしぎ堂」に憧れて、うちも「○○文庫」にしよう!
と思ったから、といういきさつがあります。
ですので、11月号の岡崎武志さんの連載記事の中に「蟲文庫」という文字をみ
つけた時は、なにやら大変感慨深いものがありました。そして今度の1月号には
「岡山編」として載せていただける予定。
そのうち、目録の掲載をお願いできるようになりたいものです。まずはその前に
広告かな。

51128.jpg

511282.jpg
なぜかお気に入りの場所(本文とは関係ありません)。

(追記)
サイト全体の文字がかなり黒くできました。いままで白い背景にグレーの文字に
なっていたので、コントラストが弱く読み難いかったと思いますが(当の私も目
が痛かったです)、これはわざとではなく、ただどうやったら黒くできるのか解
らなかっただけです。すみませんでした。

posted by 蟲文庫 at 16:34 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月22日

Tさんの引っ越し

以前の日記「ふんどしの紐」のTさんが、いよいよ引っ越すことになりました。
戦中は出身地の釧路、戦後は大阪梅田の繁華街、そして20年ほど前から倉敷
に移り住み、今度は、息子さんのおられる香川県へ行かれるそうです。

戦中戦後と、大変なご苦労をされたという事もあり、もう兎に角、物が捨てら
れないというTさん。ここのところ毎日のように「おねーちゃん、これあげる
よ」と、その捨てられない様々なものを抱えてうちにやってきます。客布団(
大量)に毛布、揃いの座布団(大量)、今年亡くなった奥様の洋裁グッズ(大
量)に未使用の台所用品などなどなどなど...。来週には、どっしりとした鋳物
の脚が付いた大物のミシン2台も運び込まれる予定です。これはよっぽど断ろ
うかとも思ったのですが、古いものなだけに、捨てるには惜しい材質とつくり。
う〜ん....店の陳列台にでも使うか...。と、やはり引き取ることにしました。
物を捨てるのもひと苦労の昨今、正直言って私も閉口してはいるのですが、た
だ、Tさんは大変に目の利く方なので、どれも比較的上等なものだというのが
救いです。こちらでも順次引き取り手を探しているところ。本当にどうしよう
もないものは、Tさんの目に触れないように、こっそり処分しています。

夏の終わりには引っ越すということだったのが、そういうTさんの性分もあり
のびのびになって数ヶ月。なんだかもうこのままずっとご近所さんのような気
もしていたのですが、数日前、急に「来週、引っ越し業者が来て、ぜーんぶや
ってくれるからね、そしたらもう行くよ」と言いに来られたのでした。

Tさんは、いつもうちの帳場に腰掛けて、あれこれと茶飲み話をした後、最後
に必ず「もう、われわれみたいな年寄りはね、なーんの楽しみもなくて、後は
もう死ぬのを待つだけなんだよ」と締めくくるのですが、でも、私もこればか
りは「そうですねえ」と相槌をうつわけにもいかず、いつも曖昧に「はあ....」
とこたえ、間の悪い空気のまま解散となります。
「最後のアレがなければなあ」と常々思ってきたことなのですが、でも、もう
そのTさんも居なくなるのだと思うと、本当の最後もやはり、あの間の悪い空
気で締めくくってほしいような気もしてきたこの数日。でも、引っ越しの迫っ
ているTさんは、とても忙しそうです。

51121.jpg
もと獣医というTさんは、大変な動物好き。
ナドさんもよくカツオをもらいました。
posted by 蟲文庫 at 15:43 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月11日

暑いから寒いから

気候がいいから天気がいいから悪いから、だから客が来ない。
と古本屋は一年中そうやって「ヒマな言い訳」をよりどころに店番をしています
(気候や天気がよくて客が来ないというのは、そんな気持ちのよい日に古本屋な
んかには来ないということです。念の為)。

本が一冊も売れない日というのは、恥ずかしながら、ちょくちょくあるのですが
ただ、誰も来ない、来店者ゼロという日は、この11年と9ヶ月間まだ一度もな
いので(ちなみに、町内の人が回覧板を持ってきたり、母親がナドさんに会いに
来たりするのはカウントしません)、夕方近くなっても、まだ誰も入って来ない
ような時は、「....もしかして今日、ついに.....」とドキドキしながら店番をして
います。誠にアホらしく低レベルなドキドキなのは自分でもよくわかっているの
ですが、でも、この砦を崩されると、ただでさえナマケモノの蟲文庫が際限なく
なってしまいそうなので(中学生の頃のあだ名は、ずばり "ナマケモノ” でした)
ここはなんとか死守したいところです。

実は昨日、かなり危険なムードが漂っていたのですが、4時近くなってから、知
り合いのHさんが来て、取り置きの、島尾敏雄の『琉球弧の視点から』を持って
帰ってくれたのを皮切りに、ぽろぽろぽろっと人が入ったので、おかげさまで何
とか事無きを得ました。やれやれ。

DSCN4371.jpg
寒くなってきたので、水槽に温水ヒーターを設置しました。
ぬる湯に浸かってだらけきっているカメです。

posted by 蟲文庫 at 16:39 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月09日

読んでしまった

想像がついたので、当分読むのはやめておこうと思っていたというのに、早く
も古本で入ってきました。リリー・フランキーの『東京タワー』。
目の前にあれば、そりゃ開かずにはおれませんよね。まるで、電車の中で隣に
座っている人が読んでいる本を盗み見るように、横目でちらっちらっと読む。

死んでゆく「オカン」と、そのことに直面するリリーさんは、想像していた以
上に去年の今ごろの父と私そのままで、悲しいとか辛いとかいうのではなく、
ただ無意味に「はあ」とため息がでる。という以外にいまのところ感想が出ま
せん。すみませんリリーさん(ファンです。お顔も)またいつかあらためて。
そんなわけで、やはり時期尚早であった、とそそくさと値段をつけて店頭に並
べる。一時間もしないうちに売れる。さすがベストセラーだ。
ほっとする。

そういえば、去年の今ごろは、ひと月近く店を閉めて父の病室で暮らしていた
のですが、そんな事が出来るのも町の古本屋という小さな商売だからこそ。先
輩業者のMさんと、「わしらぁ、ほんまになーんもならん仕事やけど、こうい
う時だけは役に立つんよなぁ」なんて、しみじみと話しました。いや、社会人
失格というだけのことなんですけど。

今週の土曜日(12日)は法事があるのでお休みします。

DSCN4546.jpg
法事の準備のため、家を追われ、蟲にやってきたミルさん。
祭壇の花を蹴散らしたり、回転灯籠に飛びついたり....という
殆ど様式美といえるイタズラをしでかす困ったヒトなのです。

posted by 蟲文庫 at 13:11 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月29日

自転車操業

古本屋になるにあたって、やはり車の運転が出来なくてはマズイだろうと、数限り
ない補習券を切りつつ必死で運転免許を取りました。ですが、いざ店を始めてみる
と、車の維持費なんてとても出ないような、文字通りの自転車操業。月末には、釣
り銭だけ残して、きれいさっぱりと家賃に消えてしまいます。
「自転車操業....うまいコト言うよなあ〜ホント」と、感心しつつ、今日も自転車
をこいで何処までも出掛けます。片道10キロくらいはへっちゃらです。

10291.jpg
一代目の山田クロちゃん(行きつけの山田サイクルという自転車屋さんで買った黒
い自転車ということで)。開店5年目くらいで盗難に遭いました。とても気に入っ
ていたので、今でも心残りです。

10292.jpg
現在乗っている二代目の山田みどりさん(もう説明は無用ですね?)。これももう
6〜7年になります。山田サイクルのおじさん(80才)が、デッドストックのパ
ーツを組み合わせて作ったオリジナル ”おしゃれ自転車” で、「世の中に2台し
かない」そうですが、あとの一台も近所の人が乗っているのでよく出会います。

posted by 蟲文庫 at 18:29 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月27日

一人前の古本屋

「古本屋はギックリ腰やって、やっと一人前」なのだそうです。

みようみ真似で始めた古本屋らしきものも、恥のかきどおしとはいえ、気が付いて
みればそれなりの形となったように、ゆるゆるのろのろとした私の働きぶりといえ
ども、やはり日々の積み重ねのなせるワザなのか、今年の春先、はからずも一人前
に....。
いやあ、かなり大変だとは聞いていましたが、本当に大変でした。ひとまずの人間
らしい生活を取り戻すまでに一週間、電車に乗って隣町まで行く勇気が出るのには
ひと月以上かかったでしょうか。
通過儀礼と思えば、いくらかメデタイような気もしないでもないですが、でも別に
半人前か三分の一人前のままでもよかったです。もう懲り懲り。

そういえば、大量に入荷した本が、あまりにも汚れていたため、喘息の発作が起き
たこともありました。死ぬかと思いました。
古本屋は、一人前になればなるほど大変です。ぼちぼちやるとします。

DSCN4394.jpg
本日の帳場。これでもまだ片づいているほうです。

posted by 蟲文庫 at 11:50 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月18日

置きっぱなしのブローティガン

古本屋というところは、例えば、お客さんから「○○という本ありませんか?」と尋ねられた数日後、まさにその本を別のお客さんが売りに来るというような偶然が、わりにあります。まるで本のほうがこちらを目指してやって来たのではないかしら、とか、どう考えてもこれは、本に呼ばれていたに違いない、そう思えるような不思議な出会いは、なにも古本屋でなくとも、本の好きの方であれば、おそらく一度や二度経験があるのではないかと思います。

私にとってのそんな一冊に、リチャード・ブローティガンの『アメリカの鱒釣り』があります。これはブローティガンの本の中では最も出回っているもので、入手も容易。別に珍しくもなんともありません。そもそも私はブローティガンの熱心な読者でもなかったりします。ですが、私の手元にある『アメリカの鱒釣り』、これはちょっと特別なのです。

まだ、蟲文庫を始める前のことです。近所の古本屋で何気なく手にした、現代詩手帖の特集『ブローティガンを読む』(1992年2月号)の中で、当時から熱心に聴いていた友部正人さんの「ブローティガン日和」という文章に出会いました。
ブローティガンの、なんだかわかったような、よくわからないような、詩的で浮遊感のある世界が、そのまま、わかったようなわからないような詩的な浮遊感でもって書かれてあって、「なるほど、そうか」と、それまで掴みかねていたブローティガンの世界は、「なにも掴む必要などはない」ということに、ぼんやりと気がついたのでした。高校時代から、社会学を中心としたノンフィクションものばかり読んでいた当時の私の、ひとつの目覚めのようなものでした。

少し長くなりますが、その「ブローティガン日和」の冒頭部分を引用します。

  もう何年か前、とあるスタジオの階段に『アメリカの鱒釣り』が置いてあっ
 た。そこはふつうは本を置いておくような場所じゃなかったけど、捨ててある
 ようにも見えなかったのでそのままにしておいた。明け方近く、帰るときにも
 う一度見ると、「アメリカの鱒釣り」はあいかわらずそこにあって、もう誰も
 取りには来ないようだった。ぼくはそれを鞄に入れて家に持ち帰った。スタジ
 オの階段に置きっぱなしになっていた「アメリカの鱒釣り」は、今度はぼくの
 本棚の中で今日まで置きっぱなしになっていた。
  今日引っぱり出してきて見ると、表紙の写真の女性の口のところに煙草の焼
 け焦げがあった。ぼくはもう十年以上煙草を吸っていないから、本を階段に置
 きっぱなしにした人がつけたんだろう。ぼくはその焼け焦げを無視して、「ア
 メリカの鱒釣り」を読みはじめた。
(友部正人「ブローティガン日和」より)

さて、それからというもの、小説類を読みあさるようになった私は、一年もたたないうちに古本屋をはじめることになるのですが、丁度その頃、近くで行われた「友部正人ライブ」にて、たまたまご本人とお話をする機会を得ました。とはいえ、ファンである私にとっては、雲の上のような人です。何を話していいやらわからず、結局「近々古本屋をはじめるんです」といって、開店案内のチラシをお渡しするのが精一杯でした。
ところがそれから2〜3ヶ月ほどした頃、なんと「引っ越しをするので、本の処分に困っていたところです。よかったらお店にならべてください」と、段ボールに数箱ぶんの蔵書が届いたのです。
あまりの事(近所の先輩業者、Mさんにも、「あんた、友部正人が本送ってきてくれたいうだけでも、古本屋始めた甲斐があったなあ」と言われた程です)に、箱を前にしばらく呆然としていたのですが、ともかく気を落ち着けて中の本を確認しはじめた私は思わず息をのみました。そこには、「ブローティガン日和」の中に出てくる、あの「焼け焦げのある『アメリカの鱒釣り』」が入っていたのです。

かくして、「とあるスタジオの階段」から「友部正人の本棚」と置きっぱなし人生を歩んできた『アメリカの鱒釣り』は、めぐりめぐって今は私の本棚で置きっぱなしになっているのですが、大波小波、これまで何度となくあった、蟲文庫存続の危機の場面でも、その都度この『アメリカの...』を手に取っては、「でも、ここでやめたら友部さんに恥ずかしいな」、そう思い直してきたようなところがあるのです。

私が死んだら、いっしょに棺桶に入れて焼いて欲しいと思う一冊ではありますが、でもまた誰かの本棚で置きっぱなしになるのもいいなあと迷うところです。


amer,mas.jpg


posted by 蟲文庫 at 17:06 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする