◆古本・倉敷「蟲文庫」◆
mushi-bunko.com

2005年10月17日

購買率

ヒマなので、一日にどれだけのお客さんが入ってきて、そのうちの何人が実際に
本を買ってくれたか、という購買率をつけています。例えば、一日の来店者20
人のうち5人の人が買ってくれたとすると、本日の購買率は40%。といった調
子です。でも、来店者が1人の日に、たまたまその人が文庫本の一冊でも買って
くれれば、これは購買率が100%ということになってしまうので、もうかれこ
れ11年分のデータがあるにはあるのですが、別に何の役にも立ちません。純粋
に「今日は何%だったな」と思うためだけにやっています。

ところで、昨日の日曜日の来店者は、概算で300〜400人ありました(本当)
といっても、恒例の地域の催しのためにそぞろ歩いている人々が、何の店とも確
かめずに入って来るだけで、みな判で押したように「なんだ、古本屋か」と言い
つつ、一通り店内を見回して出ていきます。これが朝から日暮れまでひたすら続
くのですから、すき好んで古本屋などやっているような人間にとっては苦痛以外
の何ものでもありません。ですが、何十人かにひとりくらいは、ぽろっと買って
下さるような事もないではないので、休業して在庫整理をするほど潔くもなれな
いのです。
ちなみに購買率のほうは、やっとこさっとこ5%程度。疲れました。

でも、それを補って余りある嬉しいこともあったのです。毎日新聞社から覚えの
ない郵便物が届いたのですが、開けてみると、最近出たばかりの『神田神保町古
書街』というムック本。「ち、注文してないわよ」と一瞬狼狽えてしまうところ
がいかにも貧乏人ですが、なんと、数日前の日記「憧れの職業病」に書かせてい
ただいた岡崎武志氏が、「北海道〜沖縄 気になる古本屋20」という記事の中
で蟲文庫を取り上げて下さっているのです〜!! はーびっくりした。シンクロニ
シティでしょうか。なんて。
なにせ、あの神田の有名書店がずらりと載っている本です。あらためて見れば見
るほど、その畏れ多さにドキドキしてしまいますが、ともかく本当にありがたい
ことでございます。
岡崎武志さん、「がんばれ」という事なのですね? ええ、がんばります。がん
ばりますとも。

その神田といえば、この6月、通りすがりに一瞬立ち寄ることが出来たのですが
明倫館(自然科学などの理工系専門店)だけで時間切れ。それでも表の“エサ箱”
から『原色日本植物図鑑』(保育社)の上巻と中巻をそれぞれ数百円で見つけて
ほくほくでした。いま新刊で買うと5000円くらいはします。
それから、八木書店の“古書部ではないほう”には、開店当初からずっとお世話
になっています。いつもちまちまとした買い物しか出来なくて申し訳ありません。

ともかく、そのうち、この『神田神保町古書街』を携えて、じっくり見学に行き
たいと思っています。

kanda.jpg





posted by 蟲文庫 at 20:13 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月12日

マオさんの豆本展

来年の年明け早々、イラストレーターの山口マオさん企画の豆本展を蟲文庫で
行うことになりました。
まだ口頭でのやりとりだけなので具体的なことはわかりませんが、35人程の
作家さんが参加されるそうで、「畳2畳くらいのスペースをあけておいてくだ
さい」とのこと。
いまのところ、11月に千倉(千葉)にあるマオさんお店「海猫堂」、12月
が中野(東京)の「タコシェ」、1月が倉敷の「蟲文庫」と巡回する予定です。
お正月も通常営業の蟲文庫なので、元旦からできれば、それも面白そうですが
前のタコシェのご都合もありましょうから、まだなんともいえません。でも今
からとても楽しみです。

写真1:マオさんの来年度のカレンダーも出来ました。この猫のイラス
トに見覚えのある方も多いのでは。

写真2:気に入っている絵葉書です。



mao1.jpg

mao2.jpg
posted by 蟲文庫 at 13:01 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月09日

めぐりめぐってあなたのもとへ

お昼に、先輩業者のMさんが来られたので、ちゃぶちゃぶおしゃべりする。な
んでも河出文庫から『血と薔薇』が出るらしい。一昨年だったかの復刻版は、
発売前からなんとなく想像がついたのだけど、文庫化となると、いったいどん
なことになるのだという懸念のほうが先に立つ。欲しいとは思わないけれど、
ある意味、楽しみといえば楽しみ。

ところで今日はそのMさんから、私が前々から気に入っていた20年近く前の
古書組合の販促(?)ポスターを戴く。
Mさんの店には古本屋を始める以前から客としてちょくちょく出入りをしてい
たのですが、その当時から、見る度に「いいなあ」と思っていたもので、今日
何の気なしに「そういえばMさん、昔から貼ってあるあの組合のポスターいい
ですよねえ、今度コピーさせて下さいよ」と言うと、「あ?ああ、あれか。な
んや、気に入っとんやったらあげるわ」と、いともあっさり。
そんなわけで、夕方店を閉めてから、さっそく戴きにあがる。そう、これこれ。
このポスターには、「めぐりめぐってあなたのもとへ」という、私が古本屋と
して一番大事に思っているものが、そのまま描かれているように感じるのです。
名前はありませんが、向後つぐおのタッチかなあとMさん。帳場に貼って励み
にしようと思います。感謝。

写真はそのポスターです。うちは組合未加入なので、下の部分は隠さないとい
けませんが。

megurimeg.jpg

posted by 蟲文庫 at 21:57 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月23日

それにしては...

このところ、目ぼしい入荷もぼちぼちあるのですが(例えば70年代の青林堂の
ボール箱ものの、安部慎一や永島慎二などなど)如何せん、コンディションがあ
まりにもよろしくなく、「うむむ...これはちょっと、現物を見て納得してからで
なくては、お買い上げいただけないわねえ」という、目録販売などには向かない
ものばかりなのは残念です。

ところで、蟲文庫の仕入れの9割以上は、お客さんからの買取りです。ちょっと
古本屋事情に詳しい方なんかに、そうお話しすると、「へえ〜、それにしてはイ
イ線いってますねえ」と褒められます。そう、「それにしては」なかなかのもの
だと私も思います。本当にありがたいことでございます。もちろん、それなりの
努力はしておりますが。それにしてもやはり倉敷は、けっこうヘンな本を所有し
ている人口が多いような気がします。こんな小さな町なのに。

写真は、更新作業の邪魔をするナドさん。ふと気が付くと_*+?_。l;、。・_;
なんてことになっています。

nadopc.jpg
posted by 蟲文庫 at 16:51 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月03日

店の裏山

蟲文庫は、鶴形山という小高い丘陵地を背にして建っているのですが
私はよく「うちの裏山にね.....」などという言い方をするもので、実際
にいらしたことのない方からは、倉敷というところは、ものすごい山奥
かなにかだと勘違いされることがあります。「なんだ、けっこう便利な
ところだったんですねー」とよく言われます。すみません。

というわけで、蟲文庫周辺の写真を撮ってみました。真ん中の山がその
「鶴形山」という、町中にぽっかりとある鎮守の森です。阿智神社とい
う神社があるのですが、源平合戦の行われたような昔には、この辺りは
まだ瀬戸内海から続く遠浅の海だったのだそうで、この「山」もその当
時は「島」だったのでしょう。実際、阿智神社に祀られているのは宗像
三女神という航海と商業の神様です。ちなみに、日本の庭園思想の大家
重森三玲なども言及している石組も残っています。

倉敷は、日本でも屈指の日照時間を誇る、雨の少ない乾燥がちの土地柄
なのですが、この鶴形山のような、かつての「島」が点在しているおか
げで、ずいぶん変化に富んだ自然の恩恵を受けることが出来ているよう
です。事実蟲文庫は、空中湿度の高い、羊歯苔パラダイスの裏庭と、そ
して、サボテン多肉植物に最適の焼けつくような強光線が得られる二階
の物干し、という両極端な環境が自慢です。ふふ

写真の鶴形山の左側あたりに蟲文庫があります。

turugata.jpg

posted by 蟲文庫 at 12:32 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月30日

レコード整理

このところ、朝晩がずいぶん涼しくなりました。猫やリクガメなどは既に肌寒く
感じているようで、ナドさん(猫)は、机の上の熱を発しているノートパソコン
に寄り掛かり、ツブさん(リクガメ)は私の足元にさりげなく寄り添って暖をと
っています。足元の亀は、甲羅がひんやりしているので、持ちつ持たれつ感もあ
るのですが、手元の猫はちょっと暑苦しいです。うれしいけど。

凌ぎやすくなったということで、そろそろこのサイトの「レコード・CD」コー
ナーなど何とかしようと目論んでいるところなのですが、いざ整理を始めると、
これがまた面倒くさくてなかなか前に進みません。今のところ、60年代〜70
年代始めにかけての恥ずかしいほどマイナーなサイケデリックやアシッド・フォ
ークの海賊盤(というか正規品のレプリカ。俗にカウンターフィット盤といわれ
るやつらしい)がかなりあるので、まずはそのあたりになりそうです。そういえ
ば、8月20日の日記 「メイヨ先生」 のコメント欄に戴いた書き込みの中に登場
する「明大前のレコ屋」の通販で購入したものもかなりあります。94年に店を
始めて極貧になるまでは、収入の殆どを本とレコードに注ぎ込む日々でした。
(そうそう、当時はインターネットなんて考えられもしないような時代でしたの
で通販カタログは手書きのコピー、その在庫確認は往復ハガキで行われたりして
いましたね〜)ただ、最近は本当に「こんなモノまで......」と愕然とするような
音源が普通にCD化されるようになったので、たいして珍しいものはないかもし
れませんが。ともかく頑張りたいと思います。

そういえば、ここ一年以上、ひたすらマヘルを聴き続け、気が付いたら「いつも
マヘルがかかっている古本屋」とまで言われるようになりました。もちろん本望
ですが。ただ、あんまり同じものばかり聴いているので、遂には友達やお客さん
のほうが「たまにはこんなのは?」と、いろいろ貸して下さるようになりまして
最近はまたいろいろ聴くようになってきました。その中ではデレク・ベイリーの
GUITAR SOLO VOLUME2とLa Monte Young のセカンド・ドリームというやつ
がとても良かったです。
posted by 蟲文庫 at 18:47 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月19日

幸せな苦労

少し前のことですが、しばらくバタバタしていて、新聞に目を通す余裕の
ないままいたところへ、私が開店当初からお世話になっている先輩業者の
Mさんが「田中さん、これ読んだ?」と、新聞の切り抜きを持ってきて下
さった。
『ボン書店の幻』『石神井書林日録』などの著書でも有名な、石神井書林
の店主、内堀弘氏の連載「古本屋の雑記帳」。同じ商売の端くれとして、
ただひたすら頷きながら読む。そしてその連載の最後は「(大資本の大型
書店と違って)古本屋はずっと小さな規模だけれど、なによりも個人の志
で書店を作ることができる。なにしろ、いつまでたっても食うや食わずな
のだ。幸せな苦労が残っている最後の場所なのだと思う」と締めくくられ
てあった。よし、今日もぼちぼちやろう、と思う。
posted by 蟲文庫 at 19:28 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月17日

日記らしい日記

2005年8月16日(火)

8月のあたまから、初盆に伴う行事で、てんやわんやだった我が家もようや
くとひと段落。朝、ひと月ほど留守をしている知人宅へお庭の水やりに行く。
小高い丘陵地のてっぺんにあるので、運動不足の私には丁度よい。

このところ、ナドさんがカラッポのエサ入れを前に「おなかすいた〜」と訴
えることが増えた。夏場で食欲は落ちているはずなのにおかしい....と思って
いたら、案の定、ノラさんが侵入してきてカリカリと食べている現場に遭遇。
そしてそのノラさんがいいかげん食べ終わって脱出体勢に入った頃、ようや
くと異変に気づいたナドさんがやってきて「シャーッ!!」と追いかける。
遅いよ.....。

お盆休みの期間中は、里帰りをしている友人知人が訪ねて来てくれるのが愉
しみ。今日は、大学生の頃によく来てくれていて、いまは東京で出版関係の
仕事に就いているAちゃんが覗いてくれる。近況などを報告し合い「じゃあ、
また来年」とか「またお正月に〜」なんて言って手を振る。そうあって欲し
いと切に願う。

横浜の古本屋、Iさんからお電話。いただいた郵便へのお返事が遅れていたた
め、心配してくださったよう。そういえば昨年春、倉敷駅前で比較的大きな
火災があった時にも一番にお電話を下さったのだった。ありがたい。私はIさ
ん(筆名、志多三郎)の著書『街の古本屋入門』(光文社文庫)をお手本に
して古本屋を始めているのでIさんの弟子ということになる。おそらく、色ん
な意味で最後尾の。

郵便が3通。平日は郵便が来る(ことが多い)のでうれしい。

夕方、お盆休み中の近所の友達が遊びに来てくれたので、倉敷一番街にある
「すぐり」という盛岡料理のお店でご飯を食べる。ここはなんでも美味しく
てお値段も良心的。今日は盛岡冷麺とホヤ刺しとビール。
http://www.kct.ne.jp/~fumi3/

帰り道、自転車をこいでいると、少し風がひんやりと感じられる。
夏も終わりますね。
posted by 蟲文庫 at 15:41 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月08日

蓮マーク

1994年の開店以来、トレードマークとなっている蓮の花印(下の画像
参照)こちらも一部の方はよくご存知の、天月工房、ヤマさん画伯の手によ
るものです。店を始めるにあたって、お祝いということで描いてもらいま
した。蓮の花をモチーフにというのは、こちらからの要望です。

屋号同様、なかなか印象的な(なんて、自分で言うもんじゃない)この蓮
マーク。私も大変気に入っているのですが、ただ「なんだか”お盆”みたい」
なんて意見もたまに聞かれます。確かに、以前店のチラシ(最近はフライ
ヤーとかいうのね)用に薄めのグレーで印刷してみましたら、まさに ”薄墨”
まるでお供えの熨斗みたいでした。危ない危ない.......。でも、その取り扱
い注意なところがまた好いのですよ。どんなに、辛気臭いと笑われようとも
私は花の中で蓮が一番好きです。

しかし考えてみれば、「蟲文庫の軌跡 その6」に「そんなに悠長に屋号だ
の意匠だの練っている場合ではない」などと書いた割には、けっこうちゃっ
かりやっているのですよね。といまさらながら感心します。

ただ、この蓮マーク。未だこのサイトの何処にもあしらわれていないという
ところが、「細かいがツメは甘い」「神経質だが肝心のところは抜けている」
私の性格を如実に現しているような気がします。近いうちにナントカいたし
ます。はい。
(トップページの、「顕微鏡、私、猫2、カメのシルエット」これも同じく
らいにクセが強く、そして気に入っているので、その兼ね合いが難しいので
すよ)

ところで、これまた地元ネタで恐縮ですが、旧2号線沿い川崎医科大学のも
う少し東にある「K嶋ジャンボうどん」の裏の駐車場脇に蓮根畑がありまし
て、いまが丁度見頃です。ここの駐車場には、厨房へおねだりに来るにゃあ
も何匹かいるので、猫好きのみなさんは2倍楽しめます。

蓮の花というのは、本当にお線香のような香りがするのですよね。

tanakamiho2.gif

posted by 蟲文庫 at 12:27 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月07日

ふんどしの紐

ご近所のTさん(88才)から、私はよく縫い物を頼まれる。
Tさんは大変に小柄な方なので、既成の洋服では大き過ぎるため、主にはズボンの
裾上げや幅つめ、シャツのカフス部分の付け直しなど。たまに「で、できるかな..」
と不安になるものもあるけれど、特に仕上がりにうるさい方ではないので大概のも
のは引き受ける。

先日も、布団カバーの繕いを仕上げて届けに行くと 、「そうだ、おねーちゃん(Tさ
んは、いつまでたっても私の名前を 憶えない)今度ね、紐を縫ってもらいたいん
だよ」と。
しかし、ひと口に紐と言っても、いろいろあるだろうと思い、「何に使う紐ですか
?」と聞き返しても、「え〜と、これくらいのね.....」と、両手でだいたいの長さ
を示すだけで、どうもはっきりしない。しかしまあ、紐くらいのことは 造作ないの
で 、「まあ、またいつでも言って下さい」と、その場はおわる。

そして数日後、Tさんは何やら白い布を手にやってきた。
「おねーちゃん、これね、こういうの縫ってくれないかい」と。 それは、なんて
ことはない、ふんどしであったのですが、ともかくTさんには、既成のものでは具
合が悪いようで、紐部分に工夫をしてほしいらしい。そうやって、ご自分の「見本」
を広げて見せる割には、しかし「ふんどし」という言葉はいっさい口にしない。
いちおう、「おねーちゃん」に対する気遣いであろうか...。
というわけで、ここ数日私は、工夫を凝らしたふんどしの紐を何本も縫っているの
です。

Tさんとは、同じ時期に同じ病院で同じような病気で、Tさんは奥さんを、私は父
を亡くしたせいか、なんとなく妙な連帯感がある。でもそのTさんも、この夏の終
わりには、遠方の息子さんのところへ身を寄せられるとのこと。88才という年齢
を思うと 無理もないのだけれど、やっぱり淋しい。

DSCN4229.JPG
posted by 蟲文庫 at 11:49 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月06日

エアコン

エアコンは苦手なほうの私も、さすがに点けずにはおれない今日この頃。
毎日ものすごく暑いです。でも、考えてみれば蟲文庫にエアコンが本格
導入されたのは、あれは去年の夏のこと。それまでにも一応、おんぼろ
なのが付いてはいたのですが、あまり効かない+古いので電気代が尋常
ではない。という理由から、よっぽどのことがないかぎり、点けること
はありませんでした。そういえば、店内のあまりの暑さに、怒りをあら
わにして出て行かれる方も珍しくなく、店番をしている私自身も、殆ど
我慢大会の様相。いや、よくやっていたものだと思います。
で、昨年遂に導入。エアコンをつけて、店内がそれなりに快適になった
からといって、それだけ本が売れるかといえば、別にそういうワケでは
ないのですが、駅から真っ直ぐ歩いても20分近くかかる蟲文庫まで、
この炎天下をお越し下さる方に、やれやれほっとしていただけるのなら
これはずいぶん有り難いことだ、と今更ながら「今までスミマセンでし
た」の気持ちでいっぱいです。かつて、やっと辿り着いたと思ったら、
もわっと暑くてショックを受けた経験をお持ちの皆さま、本当にすみま
せんでした。蟲文庫は、去年の夏からわりと快適です。

いやしかし、確実に毎年暑くなっていますね。昨日の豊中(大阪府)で
は38.5度を記録したとのこと。人間が活動できる気温ではないです。

写真は、暑くてぐったり....の、ナドばーにゃん。彼女もエアコン嫌い
で、普段は2階の在庫置き場などで寝ているのですが、さすがにここ数
日は帳場に涼みに来ています。

nado3.jpg
posted by 蟲文庫 at 11:16 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月04日

蟲文庫の軌跡 その7

「続・蟲文庫という屋号」

屋号の由来と同じくらい、頻繁に尋ねられる事柄に、そもそもこの「蟲」
はなんと読むのか?というものがあります。

通りを散策されている観光客の方などが、あれこれと想像を巡らせ口々に
仰っしゃるものには以下、「え〜?むしむしむし?」(これが一番多い)
とか「とどろきじゃない?」(それは車が3つ)「せみ(蝉)?」「うご
めき(蠢)?」(って....すごい名前だな.....うごめき文庫か.....)な
んてところが代表的です。郵便配達のお兄さんの中には長年「か(蚊)」
だと思い込んでいた方もありました。か文庫......語呂悪すぎです。あと
年配のご婦人に多いのですが、結局思いつかずに「....文庫ね。文庫」と
読めるところだけで、強引に納得して行かれる方もあります。
そういえば、最近いらっしゃった、日本語の堪能なあるオーストリーの方
には「スリーむしー」と言われました。

そこで、何年か前に「ムシブンコ」と片仮名バージョンの看板も拵えたの
ですが、今度は、あれこれ散々想像した揚げ句に、この片仮名看板に気付
いて「....あ、ほらこれ、ムシブンコって書いてある、え?これただのム
シなの?」と、あからさまに不満の色を現して去って行くというケースが
増えてしまいました。さらに、あまりに不満なのか「勝手に作った漢字な
んじゃない?」などという、いいがかりまでをつけて行く方もあるのです。
でも、そういう方に「これは虫の字の旧字体で...」と真面目に説明した
ところで「じぁあ、ひとつでいいじゃない」というミもフタもない反撃に
遭うこと必至なので、もう言われるにまかせています。
そう、蟲文庫前の通りは狭いので、表でかわされる会話は全て丸聞こえな
のです。ふふ

ともかく、何と言われようと私は「我ながらなんて秀逸なネーミング」と
気に入っているのでよいのですけど。
(つづく)

posted by 蟲文庫 at 17:23 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月03日

蟲文庫の軌跡 その6

「蟲文庫という屋号」

なぜ「蟲文庫」という名前なのか。と、もう何百回と尋ねられてきました。
が、実は殆ど意味や理由はありません。なんとはなし「○○文庫」にした
いなと思い、その○○部分をいろいろノートに書き連ね、その中から、こ
れまた、なんとはなしピンと来た「蟲」に決めたまでです。そう答えると
少なからず、がっかりしたような、拍子抜けしたような反応が返って来る
のですが、でも事実なのでどうしようもないのです。いや、実を言うと、
あんまり頻繁に尋ねられるので、一度は「何かそれらしい理由」をでっち
あげようと目論んではいたのですが、でも10年以上たった今でも、やは
り、これといった「それらしい理由」など思いつかないので、結局諦めた
のですが。

店を始めるにあたっての意気込みや準備期間は、それは人それぞれだと思
います。しかし何れにせよ、いざ始めるとなった時というのは、ある種の
「勢い」に背中を押されているもので、実際、その勢いで既に店舗を借り
ちゃったりしているものだから、そんなに悠長に屋号だとか意匠だとかを
練っている場合ではないのです。なにしろ契約を結んだ瞬間から家賃が発
生するのですから。いや、そんなことはないと仰っしゃる方もあるとは思
います、ですが意外とそういうケースは多いもので、逆に、それくらいの
勢いがないと、なかなか店など始められたものではないと思います。だっ
て、じっくり考える冷静さがあれば、わざわざこんな七面倒なこと始めま
せん。ましてや古本屋なんて。

そんな訳で、そのドタバタの中で「えーい ”蟲文庫” にしてやるー」
くらいの勢いで「蟲文庫」は「蟲文庫」に決ったのでした。

ところで、おそらくどんなお店のどんな屋号でも、始めてしばらくは、自
ら決めたその屋号を口にするのは、なかなか照れ臭いものではないかと思
うのです。電話が掛かってくるとドキドキして「.....む、むしぶんこ...
です」と、どもってみたり、声が小さくなったり、結局言えなくて「....
..はい.......」とだけ応えたら「蟲文庫さんですか?」と、明朗快活な発
声で確認をとられて「はいっ、す、すみません...」と、思わず謝ってしま
ったり。とか。 え?そんなことは無い?......ですか?.....ひゃ〜私だ
けだったらイヤだな.....。
あ、でも婚姻等によって姓名を変更した経験をお持ちの方ならば、或いは
ご理解いただけるのでは?「勢い」なんていうものも。いや、想像ですが。

と、収拾がつかなくなったので(つづく) 

posted by 蟲文庫 at 12:26 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月01日

蟲文庫の軌跡 その5

以前の店舗は、戦後すぐに建てられたような、簡素なつくりの長屋でした。

開店して3年目くらいのある日のこと、いつものように店番をしていまし
たら、裏の方から子猫の鳴き声が聞こえます。当時、お隣りは地元に何店
舗もあるカレー屋さんのルウ工場で、そこで友人が働いていましたので、
大方そのT君あたりがどこかで拾ってきたのだろうくらいに思って、あま
り気にせずにいたのですが、夜遅く、ひと気がなくなってもまだ聞こえま
す。流石に気になってきて、裏にまわってみましたが、声はすれども姿は
見えず。「お〜い」とか「にゃ〜」とか言ってみただけで、のこのこ出て
くる子猫などまずいないでしょうが、でもやってみましたが、やはり出て
来ませんでしたので、仕方なくその日はそのまま帰りました。

そして翌日。相変らず鳴き声がしているのを気にしつつ、店の奥にあった
トイレに入りましたら、なんと、かなりダイレクトに鳴き声が聞こえます。
最初にも書きましたが、長屋でしたので、外からはわかりませんが、建物
と建物の間に猫ならやっと通れるくらいの隙間があるようで、どうやらそ
の声の主は、なんらかの事情で天井裏から誤ってこの隙間に転落し、脱出
できなくなった様なのです。四方をふさがれた場所なので、垂直の壁を駆
け登る以外に道はありませんが、子猫の脚力ではまず無理です。無理だか
ら「お母ちゃ〜ん」と鳴いているのです。このまま放っておけば衰弱して
死んでしまいます。さあ、困りました。さあどうする「う〜ん....」と考
えた末、ダメで元々、色んな材木がつぎはぎしてあるトイレの壁(戦後す
ぐの、物のない時代の建物なので)を一枚ドンと押してみましたら、なん
といとも簡単に外れてしまいました。どうやらこのトイレの壁は薄いベニ
ヤ板のはぎ合わせで出来ていた模様.....。やや複雑な思いに駈られながら
も、ともかく道が開けたわけです。ですが、やはり「お〜い」とか「にゃ
〜」とか言ってみたところで、丸一日以上母猫を求めて鳴き叫んでいる子
猫がそう簡単に出てくるとは思えませんので、今回はもうやってみません
でした。そこで、とりあえず夜になるのを待ち、辺りがいよいよ真っ暗に
なってから、トイレの電気をつけて、しばらく見張っていましたら、思惑
通り光の洩れるほうへ顔を覗けましたので、「がしっ!」とすかさず捕獲。
いきなり顔面を掴まれた子猫はしばらく恐怖に固まっていましたが、意外
に図太く元気でしたので、そのままナドさんの傍に置いてみたところ、こ
れまたあっさりと受容れられ、そのままかいがいしく世話を焼かれ、立派
に成長し、そうしていまも元気におバカさんぶりを発揮しています。ミル
さんです。

写真は、すっかり親子気分のナドミルです。
ナドさんは出産経験もないのに世話を焼いているうちにおっぱいが出て
きました。びっくりしました。

nadomiru.jpg

posted by 蟲文庫 at 16:25 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月31日

蟲文庫の軌跡 その4

という訳で、思いも寄らず早々に結論が出てしまいました。

なぜこんないい加減な古本屋が、もう12年近くも続いているのか?
そう、なぜならそれは「いい加減だから」でした。ありゃ


ですが、せっかく書き始めたことですので、引き続きあれこれと思
い出してみたいと思います。モノズキな方がありましたら、宜しく
おつきあい下さいませ。
(つづく)
posted by 蟲文庫 at 19:12 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月30日

蟲文庫の軌跡 その3

いまでこそ、様々な形態の本屋や古本屋が、それぞれそれなりの市民権
を得て存在するようになりましたが、私が蟲文庫をはじめた10数年前
は、まだ少し事情が違いました。いまでは考えられないかもしれません
が、女性が古本屋の店主に。というだけで、ずいぶんと好奇の目を向け
られたものです。そして、私自身が目指していた古本屋像というものも
まさか今のような「一応古本屋なんですけど...」などと前置きのつくよ
うなものではなく、例えば東京の私鉄沿線などにある、無愛想なオヤジ
の座っている、色気も素っ気もない、品揃えのかっちりした町の古本屋
でした。こういうことを言うと本当によく笑われるのですが、でも本気
でそう思っていましたし、いまでもやはりそれに対する憧れがあります。
たぶん私は、我が蟲文庫のことを、「甘っちょろい」と恥じているよう
なところがあるのだと思います。

とはいえ、いざはじめてみますと、毎月々の家賃を支払っていくだけで
も大変なことでした。理想の本棚だとかなんだとか言っている場合では
ありません。古本の売り上げだけではとてもやっていけませんので、何
か自分でごそごそ拵えては並べてみたり、友人が絵を描いたといえば、
それを展示するスペースを作ってみたり......それでも足らず、早朝の
パン屋さんや、夜の郵便局などでアルバイトをしたり...と、ただひたす
ら「維持」することだけに全力を注いでいたのですが、しかし、そうこ
うしているうちに月日は流れ、いつのまにか、世の中にはずいぶん色々
な本屋さんが出来ていて、さらにあろうことか「蟲文庫さんみたいな古
本屋さんを目指しています」なんていうことを言われて仰天したりもす
るようになっていたのでした。
「みたいな」と言われてもなあ....やむにやまれずこうなってしまった
というのが実際のところなので返事のしようもありません。ただ、良く
も悪くも、自分の「理想」に対してすら、あまり拘らない、ある種のい
い加減さが、ここまで続けてくることのできた秘訣であったような気は
しています。人ひとりが思い描くことのできる理想なんて、たかが知れ
ている、といつも思っています。


写真は、3年目くらいの蟲文庫です。元々入っていた窓枠が気に入らな
かったので、友人に頼んで直してもらいました。おかげで店内もだいぶ
明るくなりました。それにしても、こうして改めて見てみると、なんと
看板に郵便受けを打ち付けてますね...わたし....。なーに考えてんだか。
(つづく)

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posted by 蟲文庫 at 17:51 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月27日

蟲文庫の軌跡 その2

いまでは、近所の人がドライバードリルやジグソー、サンダーなどを
借りに来るくらい充実している私の大工道具ですが、当時は全て手作
業。本棚用の材木などもぜんぶ鋸を手で挽いたりしたもので、店舗を
借りてからオープンするまでに、2ヶ月以上もかかってしまいました。

正式なオープンは、1994年2月7日(月)いくらそれなりの蔵書
があったとはいえ、所詮小娘の趣味程度。いざ店の本棚に並べてみる
と、全体の五分の一ほども埋まりません。仕方がないので全て面だし
していました。
それでも確か初日からお客さんはあったはずで、かなり年期の入った
大学院生のような男性がウィトゲンシュタインを買って下さったのを
記憶しています。

写真(上)は、開店して数ヶ月後の蟲文庫です。いまやトレードマー
クとなっている蓮のイラストを描いてくれた友人が「看板」もくれま
した。ただ、どうも強烈すぎて、怪しい芝居小屋か何かに見えてしま
うという事情から、程なく取り外しました。でも、いまでも大切にし
ています。

写真(下)我が糟糠の猫、ナドさんもやってきました。一部の方はよ
くご存知の、花&フェノミナンの花ちゃんちで生まれた中の1匹です。
今では「ナドさん」といえば、周りの友人知人はみな「太短くてむっ
ちり」と連想してしまう程ですが、当然子猫の時分は小さかったので
す。 (つづく)

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posted by 蟲文庫 at 12:52 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月26日

蟲文庫の軌跡 その1

相変らず、昨日始めたばかりのようなムード漂う蟲文庫ですが
実は今年で12年目になります。我ながらよく続いているものだと
感心します。何故続いているのかは自分でもよくわかりません。

よくわからないので、ここでこれまでの道のりを振り返ってみる
ことにいたします。でもたぶん結論は出ないと思いますが。

1993年11月、ワタクシ21才の秋のこと、諸事情で職を失った
のをきっかけに突然古本屋になることを思いつきます。
当時、稼ぎの大方を本とレコードに注ぎ込んでいたせいで、それなり
の蔵書がありました。ではまずはそれでも並べてみるか、とまるで無
計画に店舗を借り、始めてしまいます。下積みはもちろん、知識も心
構えも、ついでにプライドも野望も「あんまり」ありませんでした。

写真は、開店当初の蟲文庫です。内装も外装もあったもんじゃありま
せん。兎に角、はじめました。
(途中で引っ越しをしましたので、今とは別の場所になります)

(つづく)

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posted by 蟲文庫 at 19:25 | 古本屋日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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