◆古本・倉敷「蟲文庫」◆
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2007年04月10日

甘茶と百足

「ここ、出るじゃろう?」「ああ、出ますねえ・・」
百足(むかで)の話しです。

4月8日は花祭り。お釈迦さんのお誕生日。本来は潅仏会(かんぶつえ)といわれ、甘茶をわかし、幼仏像にかけて祝う行事です。
この甘茶(甘草を煮出したもの)を家の敷地内にまくと、百足(むかで)などの害虫除け(魔除け)になるそうで、「ここは、山を背にしとるからね、これ撒いておきなさいよ」と、毎年ご近所や知り合いのお寺さんからいただきます。
霧吹きに入れて、手当たり次第にシュッシュッ。これ、ほんとうに効くんですよ。

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町内でご不幸があり、午前中、店を休んでお葬式へ。
葬儀場の受付を仰せつかるも、仕事柄、つい「ありがとうございました」と言いそうになり、大変緊張する。

お昼過ぎ、店を開けたところへ古書現世の向井さんより電話。近況報告など。
たぶん、ですが、夏くらいに「わめぞの外市」(詳しくは、わめぞblogを)に、ちょっこり参加させていただくことになりそうです。本はもちろん、蟲バッグ、羊歯ぐるみ、などの蟲製品も販売予定。

夕方、見覚えのあるお顔が・・・と思ったら、北尾トロさんご一行! 中四国への取材(古本がらみではないそう)の道中だそうです。同行のH野さんという方は、「去年、一度来たんですが、たまたまお休みで・・」とのこと。ああ、申し訳ありません。これが個人商店のつらいところです。北尾トロさんとは日本物怪観光の天野さんのことなどをお話しする(向いのクラシカはあいにく定休日)。6月くらいに、旅と古本をテーマにした本を出されるそうです。
いやはや、たいへん光栄にございました。

今朝のナドさん。
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お背がぬくぬくでしあわせ。

ところで、昨日の「ナドさんを探せ」のナドさんが見つからないというお問い合わせを何件かいただきました。
ええっと、写真中央の硝子(水槽を横倒しにしたもの)の向こう側にこちらを向いたナドさんの顔があります。わかるかな。
posted by 蟲文庫 at 18:58 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月09日

しっぽを探して

ナカガワユウヰチ作品展【月光式立體冩眞箱展】は、好評のうちに終了いたしました。
お越し下さった皆さまには、心より感謝申し上げます。

このたびに展覧会のために、特別につくられたミニCD
トモリ ミイナ嬢による《黒い猫のキャリィとしっぽ》
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少女と黒猫のキャリィが、なくしたしっぽを探しにゆくお話しです。
トモリ嬢とは、ある方の変名ですが、さすがのすばらしい楽曲。
初回プレスは完売。再プレスぶんは、引き続き蟲文庫店頭で販売していますので
ご興味のおありの方はぜひ。

展覧会終了後、「ここはこうしたほうがよかったんちゃう?」「ああしたほうがよかったかなあ」
という話しもいろいろ出たことですし、是非とも、次(来年?)もお願いいたします。ユウヰチさん。

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そろそろ桜が散りはじめました。いよいよ暖かくなりますね。
きょうは、朝からサボテンの植え替えに精を出す。冬の間、室内に取り込んでいたものも、全員ベランダに復帰。お日さまをめいっぱい浴びて気持ちよさそうです。亀のみなさんもそろそろ保温がいらなくなる時季です。

ベランダのサボテンと多肉植物。

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よーく見ると「ウォーリーを探せ」状態のナドさんがいます。

posted by 蟲文庫 at 12:55 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月07日

くまのやつ

遠方からの来客が続く、この数日。
ライブツアー中のOraNoaちゃんが数日滞在(今回、蟲でのライブはなし)。荷物を置いて高知に遊びに行っている隙に、そのOraNoaちゃんと共通の友人である、東京は経堂、ロバロバカフェのいのまたさん来る。1月のロバロバカフェ(企画もこちら)を皮切りに全国数箇所に巡回中の「MT - マスキングテープを使った作品展」(おお、そのまんまのタイトルじゃね)が、いま倉敷の三宅商店という町屋を使ったスペース(カフェ部門も人気)で開催中なのです。マスキングテープとは、塗装などの時の養生に使うテープですが、いろいろな色があり、見ようによってはかわいいのです。で、このテープを作っているのが「カモ井加工紙工業株式会社」という倉敷にある会社。「カモ井のハエ取り紙」で有名なところです。子供時分、台所につるしてあったアレですね。
当初、蟲文庫で、という話しもあったのですが、作品の数が多く、物理的に無理だったので、三宅商店にお願いした、という経緯もあったのです。

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DM、ステキです。

そして、またまた東京から、日本物怪観光の天野行雄さん。じつは、つい先日、蟲文庫のすぐ向いに「クラシカ」というお店がオープンしたのですが、ここは天野さんのご両親がされているお店。数十年前の倉敷のモノクロ写真やポストカード、お兄さんの高雄さんによる墨彩画、行雄さんによる手づくり玩具(岡山の妖怪シリーズ「ぽち化け」など)、また行雄さんの奥様で、手づくり豆本などでも知られる水野真帆さんの作品も近々、ちょっこりと並べられる予定だそうです。

蟲文庫の真向かいです。全体像でなくてすみません。
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かわいいワンコに気を取られてしまい。

ところで、以前から蟲文庫で扱っている、日本物怪観光の主力アイテム「バケラ」。ご家族の経営されるお店が出来たのなら、当然そちらへ引き取られてゆくのだろうとばかり思っていたのですが、なんとも「アレはどうも、家族には理解されないようなので、引き続き蟲文庫さんでお願いします」とのこと(ぷっ)。

とうわけで「バケラ」は引き続き、蟲文庫専売@倉敷です。
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「物怪ポスト」もあります(クラシカにはありません)。

夜になって、高知の足摺岬ー黒潮鉄道ー松山ーしまなみ海道ー尾道、とまわってきたOraNoaちゃんが帰ってくる。コンビニなどで、新製品や限定醸造のビールを一本ずつ買って飲みくらべ。サントリーのくまのやつ(モルトセレクション)がよかったです。次点はエビスのザ・ホップス(みどりのやつ)。
発泡酒は、最近まったくいいのがない。何年も前の、サッポロブロイはお気に入りだったけど、やっぱり一年くらいで消えました。あれなかなかよかったのになあ(早川義夫も、たしかそう言っていた)。

そうそう、ある方から、美味しい珈琲豆と下関の「骨ひれ酒」という、燗をしたお酒に入れるトラフグの骨をいただく。うれしい。
posted by 蟲文庫 at 01:04 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月04日

苔桜

昨日あたりから、ぐっと冷え込みました。花冷え、というにも寒すぎます。
まだ使い切っていなかったストーブの中の灯油をここぞとばかりに消費。

愛しのアラジン。
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だいぶ前の写真ですが。


桜はいま7〜8分咲きといったところ。
苔観察をしていたら、木の根元にも咲いていました。

「あ、ここにも桜が・・・」
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苔みたいな桜。
posted by 蟲文庫 at 18:12 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月02日

鍵かけの習慣

休み明けの静かな月曜日。裏山でうぐいすが鳴いています。
うぐいすの鳴き声をききながら古本屋の店番....じつにのどかです。社会人として不安になるほど。

ようやく、表を開けっぱなしていられる気候になってきました。家屋を閉め切ると息苦しく感じる西の人間です。
最近でこそ、鍵をかける家も増えてきましたが、わたしの子供時分には、留守をする時と夜寝る時以外は、鍵などかけないのが普通でした(そもそも鍵がない、という家も珍しくなかった)。おかげでいまでも、玄関の鍵はかけても、その横の窓が全開、なんていう間抜けな光景もしばしばみられます。
そういえば、父の他界以来、ひとりになることが多くなった母親は、以前よりも鍵かけの習慣が身に付いたのですが、当初ご近所からは、「家にいるのになんで鍵かかってるの?」とか「鍵かかってたら、開けられないから困る」(注:野菜や回覧板を届けられない)というような苦情(?)もありました。このあたりでは、未だ「鍵がかかっている=留守」という認識なのです。かくいうわたしもそのひとりですが。

昨日は、造形作家のヨシダコウブンさんが、大阪は海月文庫の小林慶子さんご一行を、お連れくださいました。
古本屋としてはもちろん、展示スペース併設という面でも大先輩。共通の知り合いも多く、お噂はかねがね伺っていたのですが、お目にかかるのはこれが初めて。日曜の観光地はざわざわとして、あまりゆっくりお話しは出来なかったのですが、とても気持ちのよい雰囲気の方でした。最近では、展示の期間だけ店をあけ、普段はインターネットや即売会で売られているのだとか。
同業の方(ということは、その大半が先輩)に棚をみられるというのは、もうほんとうに恥ずかしくて、身の縮むような思いがしますが、でもそれだけ励みにもなるのです。ありがとうございました。

今日のナドミル。
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諸事情でつながれています。不満そう。

そうだ、そろそろ『蟲通信』春号をつくらなくては。


posted by 蟲文庫 at 16:05 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月30日

桜といえば蓮

店の近くにある、いちばん早いソメイヨシノが満開です。「標準」の樹はいま二分咲きくらい。
ということで、蓮の手入れの時季です。甕の中の蓮根を丁寧に取り出し、巻き付いている細かい根や葉っぱのくずなどを取り除きます。蓮根が増えすぎていれば、この時に株分けも。
泥の中にも根っこのくずがたくさんあるので、手でかき回してなるべくきれいにしてから、また蓮根を元に戻します。必要があれば、泥(田んぼ土)を足します。肥料には油かすや煮干し。

ソメイヨシノが咲く前だと、手が冷たくてつらい作業になりますが、終わってからだと、出始めた新芽を傷める危険があるのでよろしくないのだそうです。
というわけで、桜が咲けば蓮、なのでした。

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うちの蓮と睡蓮。
この夏も、きれいに咲いてくれるでしょうか。

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《月光式立體冩眞箱展》ナカガワユウヰチ作品展

新作が届きました。

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【音水晶ノ記憶】
窓からは「蜘蛛の巣から落ちる雫が結晶化して
稀に「音水晶」となり歌を記憶している」世界が
ご覧いただけます。


posted by 蟲文庫 at 17:06 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月29日

尾崎一雄の『苔』

屋久島の帰りみち、せっかくの機会だからと小倉で途中下車をして、駅北口すぐの「古書城田」さんを訪ねる。事前にお伝えしていたため、お店番をされてたお母さまが、「蟲文庫さんですか?」「いま市で出てるんですけど、しばらしたら戻りますので」とお茶と椅子をすすめてくださる。

スペースは蟲文庫と同じ(10坪前後)くらいかな、いいかげんな本など、ほとんど無いという羨ましい品揃え。やっていくのは大変だろうけど、でも古本屋など、どっちにしても大変なのだから、置きたい本を置きたいしな、とも思う。

わたしの大好きな尾崎一雄が何冊か並んでいる。「あ、これ持ってない」と思って、『閑な老人』を手に取ると、中に、その名も『苔』という、晩年の、随筆とも小説ともつかないような文章をみつける。しかも、ぱらぱらっと目を通してみると、〈苔のことはよく知らないけれど〉と書きながらも、〈何種類かある〉庭の苔に、じつに適切な手入れをほどこしているではないですか。さらには、〈根本まで枯れ色になった苔をより分け、丁寧引き抜いて〉いるうち、セミタケ(冬虫夏草)まで見つけてしまうのだ。さすがは『虫のいろいろ』尾崎一雄。すばらしい。
抱きしめるようにして購入(という、この表現は岡崎武志さんの真似)。苔の島がえりに、ぴったりすぎるくらいの好いお買い物ができました。

市から戻ってこられた城田さんが、よかったら、と近くにある「小文字山」を案内してくださる。京都の「大文字山」に対しての「小文字山」。季節には「小文字焼き」が行われるのだとか。
北九州市の市街地付近、苔は馴染深い種類が多く、ほっとした気分になる(屋久島の苔々には、今回、とてもたちうちできなかったもので)。

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小文字山にゃんこもいっぱい。

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こちらは、古書城田さんの店番ねこ「月夜」ちゃん。

城田さんも、たいへんな猫好き。
「早く帰って、ナドちゃんに会いたいでしょう....」としみじみ言われる。
猫好きでないと言いませんよ、こんなこと。

仙台の火星の庭さんといい、「いかに地方で生き残って行くか」という種類の話しができる、かず少ない仲間でもあります。
posted by 蟲文庫 at 15:23 | 思い出し日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月25日

「女性古書店主列伝 7」

筑摩書房のPR誌『ちくま』が届きました。
岡崎武志さんの連載、「古本屋は女に向いた職業 - 女性古書店主列伝」その7。
今回は、なんと蟲文庫・田中美穂の巻。
2段組6ページにわたり、ひたすら蟲文庫と田中美穂のことが書かれてあります。
「ひえ〜」とう程はずかしいが、でもうれしいです。岡崎さん、ありがとうございます!

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都市部の有名書店レジ周辺には並んでいるはずです。
岡山は....わかりませんが。

今朝、仙台の加藤哲夫さんがみえる。なんでもこれから倉敷商工会議所で講演をなさるのだそう。
http://www.pref.okayama.jp/bichu/topics/topics2007/20070315.html
相変わらず神出鬼没なお方です。
「火星の庭の前野さんに写真のお土産〜」と言って、店内を数箇所撮影してくださる。
そういえば、はじめて蟲文庫にいらしたのは、もう10年以上も前になります。
なんとかまだ続いております。
仙台といえば、先日、ユンボのYさん(現在、一時的に香川在住)がみえたばかりです。
行ってみたいな、仙台。コケもたのしそうです。

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「倉敷春宵まつり」

各家々の軒先に提灯をさげて、夜の町並みも楽しんでいただこうというような催しです。

大原美術館などのある中心部は、人もたくさん歩いていて、道端のぼんぼりなどもかわいらしいのですが、美観地区も端の端、蟲文庫周辺ともなると、まさに「幽玄」。

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ちょっとこわいです。

posted by 蟲文庫 at 12:49 | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月24日

コケとコケの狭間で

ここ数日、自分の書いたコケの文章ばかりを相手にしていて、少々げんなり。
顕微鏡を覗きたい、コケの名前を調べたい〜〜。けど、優先順位が「コケ原稿に取り組むように」と言っています。そうなんですよ。そのとおり。頑張ります。
コケとコケの狭間で苦しんでおります。古本屋なのに。

気分転換に、屋久島で見てきたレアなコケ写真を。

ヤマトフデゴケの「さく」(胞子体のこと。艸に朔と書きます)
真ん中あたりで、かたまってうな垂れているやつです。
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荒川上流付近。

ヤマトフデゴケそのものは、決して珍しいコケではありません(なにしろ蟲文庫の
裏山にもある)が、胞子だけでなく、葉っぱからでもガンガン繁殖できるせい(?)
なのか、この「さく」が見られることはめったにありません。
これを最初に写真におさめたのが伊沢正名さんで、まさにこの場所だったそうです。

ヤクシマミズゴケモドキ
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場所は内緒

ヤクシマ、とつくだけあって、いまのところ日本では屋久島からしか発見されて
いません。
こんな、木の幹に小さな群落をつくって生えるのが普通だそうですが、わたしは
どうも、もっと大きな群落を見たような気がするのです(というのに後で気づいた)
....ああ、もう一度確かめに行きたい。

ウワバミゴケ
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こちらも、日本では屋久島のみです。
興味がなければただのコケですが、わたしには「きゃ〜〜〜」と目がハートに
なるほどのものなのです。道端に、無造作に生えてましたが。でも場所は内緒。

posted by 蟲文庫 at 11:24 | 屋久島コケ紀行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月21日

月光式立體冩眞箱展

■ 月光式立體写真箱展 ナカガワユウヰチ作品展 ■

 箱ニ閉ヂ込メラレタ月ノ光ニ浮カビ上ガル
 モウヒトツノ世界

  2007年3月21日(水)〜4月8日(日)

グラフィック・デザイナーのナカガワユウヰチさんによる展覧会です。
「うさぎとうさぎの物語」というおはなしを軸に繰り広げられる箱の中の小宇宙。

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ひとつひとつ手に取ってご覧ください。
モウヒトツの世界がそこにあるのです。

顕微鏡をのぞく感覚ともどこか似ているような。


※作品は、これからもう少し追加される予定です。販売はいたしますが展示即売ではありません(ご希望の場合は、注文をお受けするようなかたちになります)ので、日程に融通のきく方は、会期半ばをすぎたあたりをおすすめします。





posted by 蟲文庫 at 21:52 | お知らせ・催事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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